備えとしての成年後見制度(任意後見)契約書作成から開始まで

 ここでは備えとしての成年後見制度(任意後見)の手続きでメインとなる公証人役場で契約手続きと家庭裁判所での申立手続きについて詳しく解説させていただきます。
 なお、申立を行う家庭裁判所は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

支援する人と支援する内容の決定

 備えとしての成年後見制度の利用を決めたら、まず行わなければいけないのは自分を支援してくれる人である任意後見人と支援の内容を決めなくてはいけません。
 支援する人である任意後見人は本人が選んだ人であれば誰でも問題ありません。自分が一番信頼できる人にお願いされるのがいいでしょう。
 支援の内容についてですが、どんな内容でも良いということではありません。成年後見制度の趣旨により「財産管理」に関すること、及び「身上監護」に関することに限られます。詳しくは任意後見人の職務を参照してください。

公証役場での手続き

 支援する人と支援する内容が決まれば、支援する人と支援される本人で公証役場へ行き、備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約を締結して公正証書を作成してもらいます。
 公証役場は全国にあり、どの役場で手続きをとってもかまいません。自宅周辺等便利な場所で行うのは良いでしょう。
 また、本人の体調等により公証役場へ行けるような状況でない場合、出張してもらえる場合もあります。
 全国の公証人役場の所在地につきましては、下記日本公証人連合会ホームページの公証役場所在地一覧を参照してください。

 日本公証人連合会ホームページ → http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

公証役場で必要となる書類と費用

 公証人役場で公正証書を作成してもらうためには、事前に任意後見契約の原案などの作成が必要です。下記1.2.3.4.については司法書士等の専門家のアドバイスを聞きながら作成されることをお勧めします。

備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約に必要となる書類

  • 備えとしての成年後見制度(任意後見)契約原案
  • 財産目録(案)
  • 代理権目録(案)
  • その他の内容についての書類(案)
  • 本人の戸籍謄本、住民票、本人確認資料(実印と印鑑登録証明書など)
  • 任意後見受任者の住民票、本人確認資料(実印と印鑑登録証明書など)
  • その他の書類(事案によっては本人の診断書などが必要になる)

備えとしての成年後見制度(任意後見)費用

公正証書作成の基本手数料
11,000円(出張の場合は50%加算と日当と交通費が加算)
法務局に納める印紙代
4,000円
郵券
4,000円
法務局への登記嘱託料
1,400円

 その他に、正本等の証書代と書留郵便用の郵券が必要になります。

 なお費用についてですが、備えとしての成年後見制度(任意後見)契約とあわせて、任意代理契約、見守り契約、遺言もする場合(備えとしての成年後見制度(任意後見)をサポートする制度を参照してください。)には、さらに公正証書作成の基本手数料等がかかります。
 またさらに、各契約が有償のときは公正証書作成の基本手数料が増額されます。また、受任者(任意後見契約では任意後見人)が複数になると受任者の数だけ契約の数が増えることになり、その分だけ費用も増えることになります。

家庭裁判所での手続き

 備えとしての成年後見制度(任意後見)契約の締結が終わると、いったん手続きは止まります。その後、本人の判断能力が低下してきたら、家庭裁判所へ申立をして、支援する人を正式に任意後見人に、支援する人を監督する人として任意後見監督人を選任してもらうことになります。
 なお、備えとしての成年後見制度(任意後見)契約の締結が終わると直ちに家庭裁判所に申し立てる場合もあります。備えとしての成年後見制度を検討する時点で、少し判断能力が低下している状態(成年後見制度でいう「保佐」や「補助」に当たる方)の場合がこれにあたります。

家庭裁判所で必要となる書類と費用

 家庭裁判所での申立を行うために必要な書類は以下のとおりです。申立を行う家庭裁判所は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約に必要となる書類

  • 任後見監督人選任申立書
  • 申立事情説明書
  • 財産目録および収支状況報告書ならびに付属資料
  • 任意後見受任者事情説明書
  • 任意後見監督人候補者事情説明書
  • その他の書類(親族関係図など)
  • 任意後見契約証書の写し
  • 任意後見契約の登記事項証明書
  • 申立人の戸籍謄本
  • 本人の戸籍謄本、住民票、登記事項証明書、診断書
  • 成年後見監督人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書

成年後見制度(任意後見)費用

収入印紙
800円
登記印紙
2,000円
郵券
3,000円(家庭裁判所によって異なります)

 登記印紙は、2,000円で、法務局などで販売しています。後見等の審判が確定したときに、後見等の一定の事項を東京法務局に登記するために必要な登記印紙です。
 郵券は、約3,000円(東京家庭裁判所は2,980円)です。郵券の金額は申立てをする裁判所によって異なります。

法務局での後見登記手続き

 備えとしての成年後見制度(任意後見)を利用した際には、原則として2度、東京法務局で登記が行われます。1度目は備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約をした際に、2度目は家庭裁判所に申立をした後です。
 1度目は備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約がなされたことが登記され、その証明書(登記事項証明書)は家庭裁判所での申立の際に必要になります。
 2度目は任意後見人や任意後見監督人が正式に選任されたことが登記され、今後、不動産の取引や施設への入所などの際に代理人であることを証明するために利用することが可能になります。
 また、2度の登記とも、それぞれ公証人と家庭裁判所が登記を申請(嘱託)しますので、自分で登記を行う必要はありません。嘱託後は証明書が必要な際に取得することができるようになります。