成年後見制度(法定後見)申立から開始まで

 ここからは、成年後見制度(法定後見)の申立から開始まで実際の手続きをみてきます。なお、申立てから審判までの期間は事案にもよりますが、およそ3〜10ヶ月以内です。また、申立を行う家庭裁判所は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

成年後見制度(法定後見)利用にあたって検討すべきこと

 成年後見制度(法定後見)の利用に際して、まず本人の状況が「成年後見」、「保佐」、「補助」のいずれにあたるかを検討しなければいけません。
 本人についての判断能力によって利用すべき成年後見制度が変わるため、かかりつけの医師より本人の判断能力についての意見を聞きつつ、本人にとってどの制度が合うのかを、支援する人になる予定の人や本人の親族、司法書士に依頼する場合には司法書士と協議をしていずれの成年後見制度を利用するか検討します。
 ここで決定した成年後見制度が必ずしも認められるわけではありません。申立後、鑑定を受けた後に、家庭裁判所の指示により変更しなければいけないこともあります。

成年後見制度(法定後見)申立で準備するもの

 申立に必要な書類、費用を用意から解説します。成年後見制度(法定後見)の申立をする為に必要な書類および費用は以下のとおりです。

成年後見制度(法定後見)申立必要書類

[申立書]
家庭裁判所によって書式が異なります。
司法書士に依頼している場合には司法書士が作成します。
[必要書類]
  • 財産目録
  • 収支状況報告書
  • 申立事情説明書
  • 後見人候補者事情説明書
  • 本人と親族関係を明らかにする親族関係の図面
  • その他の必要書類(通帳や不動産の登記事項証明書など、事案によって必要な書類は異なります)
司法書士に依頼している場合には司法書士が作成します。
[添付書類]
  • (本人以外が申し立てるときは)申立人の戸籍謄本
  • 本人の戸籍謄本、住民票、登記事項証明書(東京法務局が発行する後見開始の審判等を受けていないか、あるいは既に受けているかについての証明書のことです)、診断書
  • (候補者がいる場合は)成年後見人等候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書(本籍地の市区町村役場が発行する破産手続開始決定を受けていない旨の証明書のことです)、登記事項証明書(東京法務局が発行する後見開始の審判等を受けていないか、あるいは既に受けているかについての証明書のことです)

成年後見制度(法定後見)費用

申立収入印紙
800円〜1,600円(成年後見は800円)
登記印紙
4,000円
郵券
約5,000円(家庭裁判所によって異なる)
鑑定料
60,000円〜150,000円(判断能力の不十分についての判断)
司法書士手数料
100,000円程度

 収入印紙は、原則800円です。補助や保佐の開始申立てとともに代理権付与の申立てを行う場合は、別途800円の収入印紙が必要になります。申立書に貼付し、消印はしません。
 登記印紙は、4,000円で、法務局などで販売しています。後見等の審判が確定したときに、後見等の一定の事項を東京法務局に登記するために必要な登記印紙です。
 郵券は、約5,000円(東京家庭裁判所は4,300円)です。郵券の金額は申立てをする裁判所によって異なります。
 鑑定費用は60,000円から150,000円(東京家庭裁判所は100,000円)で、判断能力の不十分についての判断を鑑定医が行うための費用です。現金で家庭裁判所へ持参し、申立後に家庭裁判所に納めます。

家庭裁判所への申立て

 申立書・申立に必要な書類・申立てにかかる費用が用意できたら、本人の住所を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。鑑定料についてはこの際に決定され、裁判所で現金を支払います。
 司法書士に依頼している場合には司法書士が同行します。

家庭裁判所の調査官による事実の調査

 申立が受理されると、申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて家庭裁判所調査官が事情を聞かれます。本人の判断能力や体調によっては、調査官が本人の自宅や療養先へ訪問して状況を調査します。
 司法書士に依頼している場合には司法書士が同席します。

精神鑑定 ※鑑定費用は6〜15万円

 家庭裁判所調査官の事実調査と同時進行して、精神鑑定が精神科等の医師に依頼されます。3つの成年後見制度うち、「後見」「保佐」を利用する場合には、先天性の障害など明らかな場合を除いて、本人の精神状況について医師に鑑定をさせます。
 なお、成年後見制度「補助」の申立の場合は原則的に診断書で足りますが、判断能力の判定が困難な場合は鑑定が行われることがあります。

成年後見制度(法定後見)の開始

 事実調査・精神鑑定を経て家庭裁判所が成年後見制度の利用について適格であると判断すれば成年後見制度(法定後見)が開始されます。
 当初から決めていた支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)がそのまま選任されることが多いですが、支援する人の適格性が家庭裁判所の判断によって認められなかった場合には、司法書士等が選任されることもあります。また、裁判所から審判書謄本をもらいます。

成年後見制度(法定後見)を利用したことの証明(成年後見登記)

 東京法務局に成年後見制度(法定後見)を利用したこと、支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)の権限の内容が登記されます。支援する人や本人などの請求により登記事項証明書が発行され、本人との契約の相手方などに支援する人の権限を示すことが可能になります。

家庭裁判所へ報告

 支援する人(成年後見人、保佐人、補助人)が成年後見制度(法定後見)開始した時点での本人の財産目録と収支状況を家庭裁判所へ報告します。なお、この報告は1年に1度を目安に定期的に家庭裁判所へ提出します。