成年後見制度Q&A

成年後見制度についての一般的な質問

Q1:
成年後見制度ってなんですか?
Q2:
成年後見制度の基本的な考え方は、どのようなものですか?
Q3:
浪費を繰り返す人は、成年後見制度を利用できますか?
Q4:
成年後見制度は介護保険制度とは違うのですか?
Q5:
成年後見制度を利用すると、そのことは戸籍に記載されますか?
Q6:
成年後見登記制度とはなんですか?

すでに判断能力が不十分である人が利用すべき成年後見制度についての質問

Q7:
成年後見制度「後見 保佐 補助」とは、どのような制度ですか?
Q8:
成年後見制度「後見」とはなんですか?
Q9:
成年後見制度「後見」を利用した事例はありますか?
Q10:
成年後見制度「保佐」とはなんですか?
Q11:
成年後見制度「保佐」を利用した事例はありますか?
Q12:
成年後見制度「補助」とはなんですか?
Q13:
成年後見制度「補助」制度を利用した事例ありますか?
Q14:
成年後見制度で本人を支援する人には,どのような人が選ばれるのでしょうか?
Q15:
成年後見制度を利用するメリットはなんですか?
Q16:
成年後見制度「後見」のデメリットはなんですか?
Q17:
成年後見制度を利用するときには、どのような手続きが必要ですか?
Q18:
家庭裁判所に成年後見制度を利用するという申立てができる人は誰ですか?
Q19:
家庭裁判所への成年後見制度を利用するという申立ては自分でできますか?
Q20:
成年後見制度の利用の申立はどこにするのですか?
Q21:
成年後見制度を利用するとして、費用はどのくらいかかりますか?
Q22:
成年後見制度の利用の申立書にはどのようなことを記載するのですか?
Q23:
成年後見制度の利用を申立てた後、どのような流れで支援する人が選任されるのですか?
Q24:
支援する人(後見人・保佐人・補助人)は、簡単にいうと、どのようなことをするのですか?
Q25:
成年後見人は、在任中には、具体的にどのような仕事を行うのですか?

備えとしての成年後見制度(任意後見)についての質問

Q26:
備えとしての成年後見制度(任意後見)とは,どのような制度ですか?
Q27:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の大切な点は?
Q28:
備えとしての成年後見制度(任意後見)は、すでに判断能力が不十分である人が利用すべき成年後見制度とどこが違うのですか?
Q29:
備えとしての成年後見制度(任意後見)のメリットはなんですか?
Q30:
備えとしての成年後見制度(任意後見)のデメリットはなんですか?
Q31:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約はどこで結ぶことができますか?
Q32:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約はどのようにして行うのですか?
Q33:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約は、いつから有効になりますか?
Q34:
備えとしての成年後見制度(任意後見)での支援する人(任意後見人)の仕事はなんですか?
Q35:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約はどのような場合に終了するのですか?
Q36:
契約移行型の任意後見契約とは?
Q37:
契約移行型の任意後見契約が必要なときとは?
Q38:
任意代理契約というのは?
Q39:
見守り契約というのは?
Q40:
遺言というのは?
Q41:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約書を締結に、費用はどのくらいかかりますか?
Q42:
任意後見監督人選任の申立にはどれくらいかかりますか?

Q1:
成年後見制度ってなんですか?
答え:
 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。
 成年後見制度を利用するケースは大きく2つに分けることができます。現在すでに判断能力が不十分な状態であるために自分を支援してくれる人を家庭裁判所で決めてもらう場合と、元気なうちから判断能力が低下したときに自分を支援しておく人をあらかじめ決めておける場合(任意後見ともいいます。)の2つです。
Q2:
成年後見制度の基本的な考え方は、どのようなものですか?
答え:
 人は、社会生活を営むとき、意識するとしないにかかわらず、様々な契約をしています。
 買い物をするときの売買契約、お金を借りるときの金銭消費貸借契約、銀行に預金するときの契約、介護サービスをうけるときの契約、施設入所のときの契約など。その契約のとき、判断能力が衰えたことで、不利な契約を結んでしまわないように、その人に合った安全な契約ができるように、その支援をしてくれる人を定める、これが成年後見制度の基本的な考え方です。
 その手伝いをする人を「後見人」といい、本人と一緒に契約に問題がないかを判断したり、間違って結んでしまった契約を取り消したり、本人の代わりに契約を行ったりします。
 簡単に言えば、成年後見制度は精神的能力・判断能力が衰えた場合に、その本人を支えるというものなのです。
 また、介護保険制度が、身体的能力が不十分になった場合の社会的支援の仕組みであるのに対し、「成年後見」制度は、痴呆症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった人の社会生活を支援するものです。
 安心して老後を過ごすためには、この2つの制度は車の両輪のように互いに必要なものとなっています。
Q3:
浪費を繰り返す人は、成年後見制度を利用できますか?
答え:
 利用できません。成年後見制度は、痴呆症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった人の社会生活を支援する仕組みです。浪費を繰り返すだけでは、「成年後見」制度を利用することはできません
Q4:
成年後見制度は介護保険制度とは違うのですか?
答え:
 介護保険制度が、身体的能力が不十分になった場合の社会的支援の仕組みであるのに対し、成年後見制度は精神的能力・判断能力が衰えた場合に、その本人を支えるというものです。この2つの制度は、安心して老後を過ごすためには、車の両輪のように互いに必要なものです。
Q5:
成年後見制度を利用すると、そのことは戸籍に記載されますか?
答え:
 戸籍には記載されません。成年後見制度を利用しても、そのことは戸籍に記載されませんが、東京法務局に登記されることによって記録されます。本人や成年後見人等から請求があれば法務局から登記事項証明書が発行され、これを相手に示すことによって、安全な取引ができることになります。
 登記事項証明書の発行を受けられるものはプライバシー保護の為、あくまで本人及びそその親族や後見人などに限定されています。
Q6:
成年後見登記制度とはなんですか?
答え:
 成年後見登記制度とは、成年後見制度の利用内容や、成年後見人などの権限や備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約の内容などをコンピュータ・システムによって法務局で登記し、登記官が登記事項を証明した登記事項証明書を発行することによって、判断能力の不十分な方との取引の安全を確保するための制度です。本人や後見人から請求があれば法務局から登記事項証明書が発行され、これを相手に示すことによって、安全な取引ができることになります。
 また、プライバシー保護の為、その登記事項証明書を発行を請求することができるのは、本人及びその親族や後見人などに限定されています。
Q7:
成年後見制度「後見 保佐 補助」とは、どのような制度ですか?
答え:
 成年後見制度は、痴呆症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった人が、判断能力が低下したことで不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を選んでもらう制度ですが、本人の判断能力の程度やその他の事情によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分けられます。成年後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた本人を支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などをしたり、本人が自分で契約をするときに同意を与えたり、本人が支援する人の同意を得ないでした不利益な契約を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。いずれの制度も、判断能力が不十分となった人たちの人権や利益を守るために用意されたものです。
Q8:
成年後見制度「後見」とはなんですか?
答え:
 成年後見制度「後見」の対象となるのは、自分の財産を管理したり処分したりすることが全くできない人です。
 具体的には、重度の知的障害者・精神障害者・痴呆性高齢者などで、常に判断能力がなく、自分だけで物事を決定することが難しく、日常的な買い物も1人ではできない人ということになります。一時的に正常な状態に戻ることがあっても、1日のほとんどにおいて判断能力がないという場合も該当します。
 家庭裁判所がこの類型に該当すると判断し、「後見開始の審判」をすると、成年後見制度「後見」がスタートし、「成年後見人」が付けらます。
 成年後見人は、本人に代わって契約を結ぶなどの行為を行います。また、成年後見人は、本人が不利益な契約を結んでしまった場合には、その契約を取り消して、白紙に戻すことができます。
 ただし、自己決定の尊重の観点から、日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、取消しの対象になりません。
 成年後見人「後見」が必要となる事案としては、本人が関係する相続に関する遺産分割、不動産の売却、老人施設などへの入所契約が必要な場合などが考えられます。
Q9:
成年後見制度「後見」を利用した事例はありますか?
答え:
本人の状況:アルツハイマー病
申立人:妻
成年後見人:妻(申立人)
 本人は5年程前から物忘れがひどくなり、勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど、次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても、家族の判別がつかなくなり、その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく、2年前から入院しています。
 ある日、本人の弟が突然事故死し、本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず、困った本人の妻が相続放棄のために、後見開始の審判を申立てました。
 家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始され,夫の財産管理や身上監護をこれまで事実上担ってきた妻が成年後見人に選任され、妻は相続放棄の手続をしました。
(最高裁判所「成年後見関係事件の概況」より)
Q10:
成年後見制度「保佐」とはなんですか?
答え:
 成年後見制度「保佐」の対象となるのは、簡単な契約はできるが、重要な財産(土地や車など高額な物)を管理したり処分したりするには、常に援助が必要な人です。
 具体的には、知的・精神的障害のある人、痴呆がある程度進行している高齢者など、判断能力が著しく不十分で、日常的な買い物くらいは自分でできるが、重要な契約などは無理という人が該当します。
 家庭裁判所がこの類型に該当すると判断し、「保佐開始の審判」をすると、「保佐」がスタートし、本人を支援する人として「保佐人」が付けられます。
 「保佐人」には、不動産を処分したりお金を借りたりするなどの「重要な法律行為」について、後見人同様、不利益な契約を取り消すことができる権限が与えられます。ただし、自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、「保佐人」の同意は必要なく、取消しの対象にもなりません。また、「保佐人」は本人が同意し、裁判所が認めた事項については、本人に代わって契約を行うこともできます。
 成年後見制度「保佐」では、「保佐人」が不利益な契約を取り消すことができるというのが最も重要な点であり、訪問販売などで高額な商品を買わされる一人暮らしの高齢者の保護などで大きな効果が期待されています。
Q11:
成年後見制度「保佐」を利用した事例はありますか?
答え:
本人の状況:中程度の認知症の症状
申立人:長男
保佐人:長男(申立人)
 本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていました。以前から物忘れが見られましたが、最近症状が進み、買物の際に1万円札を出したか5千円札を出したか、分からなくなることが多くなり、日常生活に支障が出てきたため、長男家族と同居することになりました。
 隣県に住む長男は、本人が住んでいた自宅が老朽化しているため、この際、自宅の土地、建物を売りたいと考えて、保佐開始の審判の申立てをし、併せて土地、建物を売却することについて代理権付与の審判の申立てをしました。
 家庭裁判所の審理を経て、本人について保佐が開始され、長男が保佐人に選任されました。長男は、家庭裁判所から居住用不動産の処分についての許可の審判を受け、本人の自宅を売却する手続を進めました。
(最高裁判所「成年後見関係事件の概況」より)
Q12:
成年後見制度「補助」とはなんですか?
答え:
 「補助」の対象となるのは、判断能力が不十分ながら自分で契約などができるが、誰かに手伝ってもらったり代わってもらうほうがよいと思われるような人(軽度の知的障害者・精神障害者・初期の痴呆状態にある人)などです。
 家庭裁判所がこの類型に該当すると判断し、「補助開始の審判」をすると、「補助」がスタートし、本人を支援する人として「補助人」が付けられます。
 「補助人」は、裁判所が認めた事項(「保佐」の場合は法律で定められた事項になります。)について契約を取り消す権限、本人に代わって契約を行う権限が与えられます。必要な事柄について、必要な程度で、「補助人」は本人を援助します。自分でできることは自分で行い、不足しているところを補うことを目的としており、自己決定権の尊重、ノーマライゼーションという新制度の理念が生かされた類型といえます。したがって、この類型は、補助を受ける人の同意が必要です。
 本人の生活・療養看護、介護支援契約、不動産の処分など重要な判断を求められる様々な場面での利用が考えられます。
Q13:
「補助」制度を利用した事例ありますか?
答え:
本人の状況:軽度の認知症の症状
申立人:長男
補助人:長男(申立人)
 本人は,最近米を研がずに炊いてしまうなど、家事の失敗がみられるようになり、また、長男が日中仕事で留守の間に、訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所に補助開始の審判の申立てをし、併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与の審判の申立てをしました。家庭裁判所の審理を経て、本人について補助が開始され、長男が補助人に選任されて同意権が与えられました。
 その結果、本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には、長男がその契約を取り消すことができるようになりました。
(最高裁判所「成年後見関係事件の概況」より)
Q14:
成年後見制度で本人を支援する人には,どのような人が選ばれるのでしょうか?
答え:
 支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)には,本人のためにどのような保護・支援が必要かどうか、財産や生活の状況などの事情に応じて、家庭裁判所が選任します。本人の親族以外にも、法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合があります。
Q15:
成年後見制度を利用するメリットはなんですか?
答え:
 成年後見制度では,家庭裁判所によって選ばれた支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)が、判断能力の低下した人の財産管理と身上看護をします。支援する人はその支援をする内容が登記されるので、成年後見制度を利用しており、本人に代わって契約等を行えるという地位が公的に証明されます。また、支援する人には取消権があるので本人が詐欺にあってだまされても契約を取り消すことができます。
Q16:
成年後見制度「後見」のデメリットはなんですか?
答え:
 成年後見制度「後見」を利用すると選挙権を失います。また、会社の取締役に就けなくなったり、弁護士や医者等の一定の資格に就けなくなるといった資格制限もあります。
 なお、成年後見制度「保佐」「補助」にはこのデメリットはありません。
Q17:
成年後見制度を利用するときには、どのような手続きが必要ですか?
答え:
 成年後見制度を利用するときには、家庭裁判所に、成年後見制度「後見」、「保佐」または「補助」の申立てをします。この申立ては、本人(判断能力が不十分な人)の住所地の家庭裁判所に申立てることになります。
Q18:
家庭裁判所に成年後見制度を利用するという申立てができる人は誰ですか?
答え:
 成年後見制度の申し立ては誰でもできるわけではなく、本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長などに限られています。家族や親族がなく、本人の福祉を図るため特に必要ある場合には、市町村長も申し立てることができます。本人が、備えとしての成年後見制度(任意後見)を利用しているときは、任意後見人も申し立てることができます。
 なお、本人以外の人が申し立てをする場合、「後見」の利用においては本人の同意は必要ありませんが、「補助」「保佐(代理権を支援する人に与える場合のみ)」の利用においては本人の同意が必要です。
Q19:
家庭裁判所への成年後見制度を利用するという申立ては自分でできますか?
答え:
 成年後見制度は、本人の精神の状況に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つから選択することになりますが、どの手続きを選択するべきかなど判断の難しい面もありますので、一度は司法書士などの専門家に相談してみるのがよいと思います。
Q20:
成年後見制度の利用の申立はどこの家庭裁判所にするのですか?
答え:
 成年後見制度の利用の申立ては本人(援助を受ける人)の住所地の家庭裁判所に行います。
Q21:
成年後見制度を利用するとして、費用はどのくらいかかりますか?
答え:
申立収入印紙:800円
登記印紙:4,000円
郵券:5,000円(家庭裁判所によって異なる)
鑑定料:60,000円〜150,000円
 収入印紙は、800円です。補助や保佐の開始申立てとともに代理権付与の申立てを行う場合は、別途800円の収入印紙が必要になります。申立書に貼付し、消印はしません。
 登記印紙は、4,000円で、法務局などで販売しています。後見等の審判が確定したときに、後見等の一定の事項を東京法務局に登記するために必要な登記印紙です。郵券は、約5,000円(東京家庭裁判所は4,300円)です。郵券の金額は申立てをする裁判所によって異なります。
 鑑定費用は60,000円から150,000円(東京家庭裁判所は100,000円)です。現金で家庭裁判所へ持参し、申立後に家庭裁判所に納めます
Q22:
成年後見制度利用の申立書等にはどのようなことを記載するのですか?
答え:
 後見などの成年後見制度を利用するには、申立書や必要書類等を作成して、家庭裁判所に提出しなければなりません。申立書等に記載しなければならないのは、財産、収支状況、申立事情等です。申立の事案ごとに記載内容が多少変わってきます。後見人などの候補者も適当な人がいれば、記載しますが、家庭裁判所は、その候補者に拘束されるわけではありませんので、候補者が、必ず選任されるわけではありません。
Q23:
成年後見制度の利用を申立てた後、どのような流れで支援する人が選任されるのですか?
答え:
 成年後見制度利用の申立てを受けた家庭裁判所では、申立人や本人・後見人などの候補者・その他の関係者から事情を聞いたり、資料の提出を受けたりして、本人の精神状態や生活状況、後見人などの候補者の適格性についての調査を行います。後見と保佐の申立ての場合は、本人の判断能力を判定するために、原則として鑑定が行われます。鑑定は、精神科の医師あるいはかかりつけの医師によって行われます。鑑定費用の額は、各家庭裁判所によって違いますが、6万円から15万円程度のようです。その上で、本人の財産の内容や生活の状況に応じて、ふさわしい人を後見人などに選任することになります。申立てから後見人などが決まるまでの期間は、ケース毎に異なりますが、今のところ3ケ月から10ケ月程度を要しています。
Q24:
支援する人は、簡単にいうと、どのようなことをするのですか?
答え:
 家庭裁判所から選ばれた支援する人(後見人・保佐人・補助人)は本人の財産を管理、療養看護をしたり、契約などの法律行為を本人に代わって行います。ただし、スーパーなどでの日用品の買い物や、実際の介護は一般に成年後見人等の職務ではありません。なお、成年後見人等はその仕事を家庭裁判所に報告して家庭裁判所の監督を受けます。
Q25:
成年後見人は、在任中には、具体的にどのような仕事を行うのですか?
答え:
「成年後見人」の一般的な職務の内容は、本人の「生活、療養看護および財産の管理に関する事務」=「後見事務」とされ、大きく次の2つに分かれます。
  • 「財産管理」
     「成年後見人」の一般的な職務のひとつは、自己の財産を自ら管理する能力が十分ではない本人に代わって、その財産を維持したり本人のために処分したりする「財産管理」です。とくに、包括的に任される財産管理は重要な職務で、成年後見人に選任されたらすぐに被後見人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成しなければなりません。また、本人の生活や療養看護、財産管理のために必要な予定金額を決めることも求められます。
  • 「身上看護」
     「成年後見人」の一般的な職務のふたつめは、本人の生活や健康管理などに目を配る「身上看護」です。身上看護については、法律行為に関するものに限られていますから、実際に食事の世話や介護といったことを行うわけではありません。しかし、本人が生活や健康を維持していくのに必要と考えられる介護サービスや治療行為を受けられるように、与えられた権限の中で手配する必要があります。
Q26:
備えとしての成年後見制度(任意後見)とは,どのような制度ですか?
答え:
 備えとしての成年後見制度(任意後見)は、まだ元気な人(判断能力がある人)が、自分が将来、認知症などによって判断能力が不十分になったときに備えて、自分を支援してくれる人(任意後見人といいます)と、その任意後見人に自分に代わってやって欲しい判断業務を、自ら事前に契約によって決めておく制度です。
具体的には自分が判断能力が不十分になったとき、本人の財産の管理、本人の生活や健康を維持していくのに必要と考えられる介護サービスや、治療行為を受けられるように手配するなどの、本人に代わって行う権利(代理権といいます)を与える契約(任意後見契約といいます)を結びます。
 備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約は公証役場の公正証書で結んでおくことが必要です。
 備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約は、本人が元気な間はスタートしません。本人の判断能力が低下してきたら、任意後見人や親族が家庭裁判所に申立を行います。
 申立後、家庭裁判所は「任意後見監督人」を選任し、任意後見がスタートします。任意後見監督人が選任されて備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約の効力が生まれるまでは、任意後見人は「任意後見受任者」と呼ばれます。任意後見監督人は、本人が選んだ任意後見人が契約どおり、しっかり仕事をしているかチェックするために家庭裁判所から選任されます。
Q27:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の大切な点は?
答え:
 備えとしての成年後見制度(任意後見)で大切なのは、まずあなたがどのようなライフプランを立てるかにあります。例えば、判断能力が衰えてきたときでも、介護保険を活用し在宅で生活しながら友人・隣人と付き合っていきたい、また自宅を処分して何々という施設に入りたいとか、治療はどこの病院を指定する、など自分の希望するライフプランをはっきり決めておくことです。
 そして次に、判断能力が衰えてきたときに、あなたに代わって事務を代理し実行してくれる人(任意後見人といいますが、会社などの法人や複数の人にお願いすることもできます)とそのライフプランについて十分話し合い、共に理解し、信頼し合える関係を作ることが大切です(もしも、周りに適当な任意後見人がいないときには、司法書士などの専門家に相談してみてください)。
 いずれにしても自分の将来の生活を委ねるのですから、十分な信頼関係をつくることが何よりも大切です。
Q28:
備えとしての成年後見制度(任意後見)は、すでに判断能力が不十分である人が利用すべき成年後見制度とどこが違うのですか?
答え:
 すでに判断能力が不十分である人が利用すべき成年後見制度(法定後見ともいいます。)は、現在、既に判断能力がない(または衰えた)人を、どのように援助するかという制度です。これに対し、備えとしての成年後見制度(任意後見)は、今は元気だが、将来自分の判断能力が低下したときのことが心配なので、今のうちに自分のライフプラン(生活設計)を決めておいて、その実行のために、あらかじめ後見人を決めておこうというものです。すでに判断能力が不十分である人が利用すべき成年後見制度(法定後見)においては、支援する人(後見人など)を誰にするかを家庭裁判所が決めるのに対し、備えとしての成年後見制度(任意後見)においては、本人自らが、誰に援助してもらうかをあらかじめ決めることができます。
 また援助してもらう内容についても、備えとしての成年後見制度(任意後見)のほうが、法定後見制度に比べてより柔軟に取り決めることができます。
Q29:
備えとしての成年後見制度(任意後見)のメリットはなんですか?
答え:
 備えとしての成年後見制度(任意後見)では、元気なうちに(判断能力があるうちに)、一番信頼できる人を支援する人(任意後見人)に選ぶことができます。任意後見人に援助してもらう内容を備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約によって柔軟に取り決めることができます。任意後見人は、この契約で定めた委任事務を行うことが仕事です。また、契約が公正証書で行われ、登記もされるので任意後見人の地位が公的に証明され、社会的な信用度も高くなっています。任意後見人に対して、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、公的な監督が付くので安心感があります。
Q30:
備えとしての成年後見制度(任意後見)のデメリットはなんですか?
答え:
 任意後見人は、本人が行った法律行為を取り消すことができません。任意後見人には取消権・同意権はありません。
 また、任意後見を利用して、葬儀や埋葬のやり方、遺産相続などを任意後見人に任せることはできません。任意後見は、本人の存命中に対する後見事務が原則です。その為、遺言と任意後見をうまく組み合わせて使うことが必要です。
Q31:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約はどこで結ぶことができますか?
答え:
 ライフプランもできあがり、信頼できる任意後見人とも合意ができたら、次は備えとしての成年後見制度(任意後見)契約の締結です。
 任意後見契約の締結は、公証役場で行います。任意後見契約は公正証書で契約書が作成される必要があるからです。一般の委任契約は、当事者の合意があれば成立しますが、「任意後見」契約は、財産管理・身上監護など広い権限を任意後見人に与えるため、「任意後見契約に関する法律」によって、契約の成立・効力の発生・終了等について厳格な規定を設けて、「任意後見」制度が適正に運用されるようになっています。
 そして、「任意後見」契約の締結には、公証人が必ず立ち会い、本人の意思や代理権の範囲などを十分に確認します。そして、「任意後見」契約が締結されたら、公証人によって、その契約の当事者と代理権の範囲が登記されます。
Q32:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約はどのようにして行うのですか?
答え:
 備えとしての成年後見制度【任意後見】契約は公正証書で締結しなければなりませんが、白紙で公証役場を訪ねても契約書はできません。事前の準備が必要です。契約をするにあたっては、事前にライフプランや管理の対象となる財産の目録を作成したり、誰を任意後見人にするか、その任意後見人にどこまでの代理権を与えるかなど、「任意後見」契約の原案を考える必要があります。
Q33:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約は、いつから有効になりますか?
答え:
 備えとしての成年後見制度【任意後見】制度は、任意後見契約を締結しただけでは効力は発生しませんし、支援する人(任意後見人)が代理権を持つわけでもありません。本人の判断能力が衰えた段階で、家庭裁判所において、任意後見人を監督する人(任意後見監督人)が選任されることによって、はじめて任意後見契約が有効になります。本人が重要な財産の管理処分をすることができるかどうかチョットあやしい、誰かに代わってもらった方がよい程度の状態になった時点で、本人・配偶者・4親等内の親族または任意後見人が家庭裁判所に支援する人を監督する人(任意後見監督人)の選任を申立てます。この任意後見監督人が選任された時点で、支援する人は正式に任意後見人となり、任意後見契約に基づく任意代理権が有効に成立し、任意後見監督人の監督の下に代理権の行使が開始されるのです。後見監督人は、後見人が契約どおりに後見事務を行っているかを監視する人で、自ら任意後見人を監督できない本人に代わって、契約を監督することになります。また、任意後見人の代理権の範囲は登記されていますので、その登記事項の証明書を示すことによって、任意後見人がどのような代理権をもっているのかを明らかにすることができます。但し、プライバシー保護のため、この登記事項証明書を取寄せることができる者は、本人及びその親族や任意後見人などに限定されています。
Q34:
備えとしての成年後見制度(任意後見)での支援する人(任意後見人)の仕事はなんですか?
答え:
 「任意後見人」の職務は、本人の「財産管理」と「身上看護」に関することが基本となります。「任意後見」制度は、本人と「任意後見受任者」の当事者双方により「任意後見契約」に基づいてなされるものです。従って、任意後見受任者つまり将来の「任意後見人」のなすべき仕事は、「任意後見契約」によって定められます。契約内容は自由ですが、本来の制度の趣旨から言うと、次のようなものが考えられます。
  • 本人の「財産管理」に関すること(不動産などの財産管理、銀行や保険会社などの金融機関と取引など)
  • 本人の「身上看護」に関すること(介護保険あるいはそれ以外の福祉サービス利用契約の締結や管理、要介護認定の手続き、施設入所契約など、福祉サービス利用に関する諸手続きおよび不服申し立てやサービス内容のチェックなど)
 任意後見人の基本的な職務の内容というのは、本人の財産をきちんと管理するとともに、介護や生活面のバックアップをすることといえます。ただし、委任される事務は「代理権」を与えられる法律行為に限られていますから、介護労働と直接提供するような、代理権とは関係のない行為は含まれません。本人にとってそうしたサービスを受けることが必要ならば、その為の手続きや契約をするのが任意後見人の仕事であるということは、法定後見における「成年後見人等」の場合と同じようです。
Q35:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約はどのような場合に終了するのですか?
答え:
 「任意後見」契約は任意後見人の解任、契約の解除、本人が後見・保佐・補助開始の審判を受けたときのほか、本人の死亡・破産、任意後見人の死亡・破産・後見開始の審判を受けたときに終了します。また、「任意後見」から「法定後見」への変更ができるかという問題があります。「任意後見」契約が締結されている場合には、本人の意思で締結した「任意後見」契約を尊重し、例えば、任意後見人の代理権が限定されているため本人に必要な法律行為ができない場合など、本人の利益のため特に必要があると認める場合にだけ、家庭裁判所は後見・保佐・補助開始の審判ができることとなっています。
Q36:
契約移行型の任意後見契約とは?
答え:
 任意代理契約+見守り契約+任意後見契約=契約移行型の任意後見契約+遺言(遺言も含め全て公正証書で作成します。実務上最も利用されている組み合わせです)移行型の任意後見契約は、高齢者などの本人を支える方法として、実務上最も利用されている任意後見契約です。
 契約移行型の任意後見契約とは、任意代理契約と任意後見契約を同時に契約することにより、現在、判断能力のしっかりしている本人を任意代理契約で支援し、将来、判断能力の低下した本人を任意後見契約で支えることができる任意後見契約といいます。契約移行型の任意後見契約が必要なのは、現在、判断能力がありますが、誰かが財産管理と身上看護を行う必要があり、将来の判断能力の低下に備えようとしている方を支えるときです。
 また、見守り契約を同時に契約しておけば、任意後見契約の問題点の1つである、いつ、任意後見契約をスタートさせるか、という点を見守り契約により補充させることができます。
 それとあわせて、同時に公正証書で遺言を残しましょう。任意後見契約は、本人が死亡すると終了しますので、亡くなった後のことについてまで本人の意思が活かされません。ご自身の死後に発生するであろう問題を見越して、どんなふうに処理してほしいか遺言で意思表示しておきましょう。
Q37:
契約移行型の任意後見契約が必要なときとは?
答え:
 契約移行型の任意後見契約が必要なときは、まさに、財産管理と身上看護の事務を必要としている判断能力のある方です。例えば、高齢の夫婦の夫が法定後見の類型にあり、夫の身上看護と財産管理を誰かが行う必要があり、一方の妻は判断能力はあるものの、病気などにより身体的に不自由になり、妻の財産管理と身上看護の事務を誰かが行う必要があるというとき、任意代理契約と任意後見契約を締結するような場合です。
 今、本人の身上看護と財産管理をまさに必要としているのに、即効型の任意後見契約では、本人の判断能力があるためスタートせず、また、将来型の任意後見契約を締結している程時間の余裕がないというときに有効です。
Q38:
任意代理契約というのは?
答え:
 任意代理契約とは、本人が、判断能力があるときに、代理人に対し、財産管理と身上看護の事務を継続的に依頼する民法上の委任契約をいいます。任意代理契約の内容については、任意後見契約の内容と同一でもよく、また、限定しても構いません。任意後見契約と同じく公正証書で作成するのが望ましいでしょう。
 原則として任意後見契約が始まるまでの間、本人を支援して、任意後見契約の開始前に備える契約です。
Q39:
見守り契約というのは?
答え:
 見守り契約とは、本人(任意後見契約では援助を受ける人)が受任者(任意後見契約では任意後見人になってもらう人)と面談等を行い、受任者(任意後見人)が任意後見契約をスタートさせるための任意後見監督人の選任時期を、本人と相談しながら任意後見契約を支えるときに利用する契約をいいます。
 任意後見契約と見守り契約を同時に契約しておけば、任意後見契約の問題点の1つである、いつ、任意後見契約をスタートさせるか、という点を見守り契約により補充させることができます。任意後見契約と任意代理契約は、見守り契約とセットで公正証書で契約すると効果をより有効に発揮します。
Q40:
遺言というのは?
答え:
 遺言とは、自分の死後に発生するであろう問題を見越して、どんなふうに処理してほしいか意思表示しておくものです。どんな内容を遺言しても構いませんが、法的に有効な事項は限られています。また、任意後見人を遺言執行者に指名しておき、本人の生前から死後にかけてスムーズに自分の意思を実現してもらうこともいいと思います。
 任意後見契約は、本人が死亡すると終了しますので、亡くなった後のことについてまで本人の意思が活かされませんので、死後の事務についても公正証書で遺言を残しましょう。
Q41:
備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約書を締結に、費用はどのくらいかかりますか?
答え:
公正証書作成の基本手数料:11,000円
(出張の場合は50%加算と日当と交通費が加算)
法務局に納める印紙代:4,000円
法務局への登記嘱託料:1,400円
 公正証書作成の基本手数料は11,000円です。出張の場合は50%加算と日当と交通費が加算されます。
 法務局に納める印紙代は4,000円、法務局への登記嘱託料は1,400円です。その他に、正本等の証書代と書留郵便用の郵券が必要になります。
 なお、任意後見契約とあわせて、任意代理契約、見守り契約、遺言もする場合には、さらに公正証書作成の基本手数料等がかかります。さらに各契約が有償のときは公正証書作成の基本手数料が増額されます。また、受任者(任意後見契約では任意後見人)が複数になると受任者の数だけ契約の数が増えることになり、その分だけ費用も増えることになります。
Q42:
任意後見監督人選任の申立にはどれくらいかかりますか?
答え:
収入印紙:800円
登記印紙:2,000円
郵券:3,000円(家庭裁判所によって異なる)
 収入印紙は、800円です。申立書に貼付し、消印はしません。
 登記印紙は、2,000円で、法務局などで販売しています。後見等の審判が確定したときに、後見等の一定の事項を東京法務局に登記するために必要な登記印紙です。
 郵券は、約3,000円(東京家庭裁判所は2,980円)です。郵券の金額は申立てをする裁判所によって異なります。