成年後見制度に関する資料

法定後見制度の根拠法について

 制度は民法に基づきます。実際の手続は、家事審判法および家事審判規則に基づき、家庭裁判所が行います。後見登記は、後見登記等に関する法律によります。市区町村長申立の根拠は、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)です。

任意後年制度の根拠法について

 法定後見が民法上の制度であるのに対し、任意後見は民法の特別法である「任意後見契約に関する法律」に定められた制度です。

法定後見制度による資格の制限

保佐による資格の制限

 保佐開始の審判を受けると主に以下の資格の制限が加わり、資格や会社役員等の地位を失います。ただし、資格の制限は、保佐開始の審判を受けた者だけです。保佐開始に相当する判断能力であったとしても審判を受けていない者は資格制限の対象となりません。

  • 会社の役員(会社法)
  • 医師(医師法、歯科医師法)
  • 医療法人の役員(医療法)
  • 国家公務員(国家公務員法)
  • 校長または教頭(学校教育法)
  • 弁護士(弁護士法)
  • 司法書士(司法書士法)
  • 行政書士(行政書士法)
  • 税理士(税理士法)
  • 社会福祉士、介護福祉士(社会福祉士および介護福祉士法)
  • 自衛隊の隊員(自衛隊法)

後見による資格の制限

 後見開始の審判を受けると主に以下の資格の制限が加わり、資格や会社役員等の地位を失います。ただし、資格の制限は、後見開始の審判を受けた者だけです。後見開始に相当する判断能力であったとしても審判を受けていない者は資格制限の対象となりません。

  • 選挙権および被選挙権(公職選挙法)
  • 印鑑登録の抹消
  • 会社の役員(会社法)
  • 医師(医師法、歯科医師法)
  • 医療法人の役員(医療法)
  • 国家公務員(国家公務員法)
  • 校長または教頭(学校教育法)
  • 弁護士(弁護士法)
  • 司法書士(司法書士法)
  • 行政書士(行政書士法)
  • 税理士(税理士法)
  • 社会福祉士、介護福祉士(社会福祉士および介護福祉士法)
  • 自衛隊の隊員(自衛隊法)
  • 合名会社の社員(商法)
  • 中央選挙管理委員会の委員(公職選挙法)
  • 質屋営業の許可(質屋営業法)
  • 歯科医師国家資格の受験資格(歯科医師法)
  • 高圧ガス・火薬類の製造、販売の許可(高圧ガス保安法、火薬類取締法)
  • 武器製造の許可(武器等製造法)
  • 薬局開設の許可(薬事法)

任意後見契約に関する法律

(趣旨)

第一条 この法律は、任意後見契約の方式、効力等に関し特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

 一 任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。

 二 本人 任意後見契約の委任者をいう。

 三 任意後見受任者 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前における任意後見契約の受任者をいう。

 四 任意後見人 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後における任意後見契約の受任者をいう。

(任意後見契約の方式)

第三条 任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

(任意後見監督人の選任)

第四条 任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

 一 本人が未成年者であるとき。

 二 本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき。

 三 任意後見受任者が次に掲げる者であるとき。

  イ 民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百四十七条各号(第四号を除く。)に掲げる者

  ロ 本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族

  ハ 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者

2 前項の規定により任意後見監督人を選任する場合において、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)を取り消さなければならない。

3 第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。

4 任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、その親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任する。

5 任意後見監督人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者の請求により、又は職権で、更に任意後見監督人を選任することができる。

(任意後見監督人の欠格事由)

第五条 任意後見受任者又は任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができない。

(本人の意思の尊重等)

第六条 任意後見人は、第二条第一号に規定する委託に係る事務(以下「任意後見人の事務」という。)を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

(任意後見監督人の職務等)

第七条 任意後見監督人の職務は、次のとおりとする。

 一 任意後見人の事務を監督すること。

 二 任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること。

 三 急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること。

 四 任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。

2 任意後見監督人は、いつでも、任意後見人に対し任意後見人の事務の報告を求め、又は任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況を調査することができる。

3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、任意後見監督人に対し、任意後見人の事務に関する報告を求め、任意後見人の事務若しくは本人の財産の状況の調査を命じ、その他任意後見監督人の職務について必要な処分を命ずることができる。

4 民法第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十九条の二、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、任意後見監督人について準用する。

(任意後見人の解任)

第八条 任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の請求により、任意後見人を解任することができる。

(任意後見契約の解除)

第九条 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前においては、本人又は任意後見受任者は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、任意後見契約を解除することができる。

2 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。

(後見、保佐及び補助との関係)

第十条 任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判等をすることができる。

2 前項の場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。

3 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは、任意後見契約は終了する。

(任意後見人の代理権の消滅の対抗要件)

第十一条 任意後見人の代理権の消滅は、登記をしなければ、善意の第三者に対抗することができない。

(家事審判法の適用)

第十二条 家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、第四条第一項、第四項及び第五項の規定による任意後見監督人の選任、同条第二項の規定による後見開始の審判等の取消し、第七条第三項の規定による報告の徴収、調査命令その他任意後見監督人の職務に関する処分、同条第四項において準用する民法第八百四十四条、第八百四十六条、第八百五十九条の二第一項及び第二項並びに第八百六十二条の規定による任意後見監督人の辞任についての許可、任意後見監督人の解任、任意後見監督人が数人ある場合におけるその権限の行使についての定め及びその取消し並びに任意後見監督人に対する報酬の付与、第八条の規定による任意後見人の解任並びに第九条第二項の規定による任意後見契約の解除についての許可は、家事審判法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。

(最高裁判所規則)

第十三条 この法律に定めるもののほか、任意後見契約に関する審判の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

知的障害者福祉法

目次

 第一章 総則(第一条-第八条)

 第二章 実施機関及び更生援護

  第一節 実施機関等(第九条-第十五条の三)

  第二節 障害福祉サービス、障害者支援施設等への入所等の措置(第十五条の四-第二十一条)

 第三章 費用(第二十二条-第二十七条の二)

 第四章 雑則(第二十八条-第三十二条)

 附則

第一章 総則

(この法律の目的)

第一条 この法律は、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。

(自立への努力及び機会の確保)

第一条の二 すべての知的障害者は、その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない。

2 すべての知的障害者は、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。

(国、地方公共団体及び国民の責務)

第二条 国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が実現されるように配慮して、知的障害者の福祉について国民の理解を深めるとともに、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」という。)の実施に努めなければならない。

2 国民は、知的障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、知的障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

(関係職員の協力義務)

第三条 この法律及び児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)による福祉の措置の実施並びにその監督に当たる国及び地方公共団体の職員は、知的障害者に対する更生援護が児童から成人まで関連性をもつて行われるように相互に協力しなければならない。

第四条から第八条まで 削除

第三章 実施機関及び更生援護

第一節 実施機関等

(更生援護の実施者)

第九条 この法律に定める知的障害者又はその介護を行う者に対する市町村(特別区を含む。以下同じ。)による更生援護は、その知的障害者の居住地の市町村が行うものとする。ただし、知的障害者が居住地を有しないか、又は明らかでない者であるときは、その知的障害者の現在地の市町村が行うものとする。

2 前項の規定にかかわらず、第十六条第一項第二号の規定により入所措置が採られて又は障害者自立支援法第二十九条第一項若しくは第三十条第一項の規定により同法第十九条第一項に規定する介護給付費等(第十五条の四及び第十六条第一項第二号において「介護給付費等」という。)の支給を受けて同法第五条第一項若しくは第五項の厚生労働省令で定める施設、同条第十二項に規定する障害者支援施設(以下「障害者支援施設」という。)又は独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設(以下「のぞみの園」という。)に入所している知的障害者及び生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により入所している知的障害者(以下この項において「特定施設入所知的障害者」という。)については、その者が障害者自立支援法第五条第一項若しくは第五項の厚生労働省令で定める施設、障害者支援施設、のぞみの園又は生活保護法第三十条第一項ただし書に規定する施設(以下この項及び次項において「特定施設」という。)への入所前に有した居住地(継続して二以上の特定施設に入所している特定施設入所知的障害者(以下この項において「継続入所知的障害者」という。)については、最初に入所した特定施設への入所前に有した居住地)の市町村が、この法律に定める更生援護を行うものとする。ただし、特定施設への入所前に居住地を有しないか、又は明らかでなかつた特定施設入所知的障害者については、入所前におけるその者の所在地(継続入所知的障害者については、最初に入所した特定施設への入所前に有した所在地)の市町村が、この法律に定める更生援護を行うものとする。

3 前項の規定の適用を受ける知的障害者が入所している特定施設の設置者は、当該特定施設の所在する市町村及び当該知的障害者に対しこの法律に定める更生援護を行う市町村に必要な協力をしなければならない。

4 市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

 一 知的障害者の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。

 二 知的障害者の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。

 三 知的障害者の福祉に関する相談に応じ、必要な調査及び指導を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。

5 その設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)に知的障害者の福祉に関する事務をつかさどる職員(以下「知的障害者福祉司」という。)を置いていない市町村の長及び福祉事務所を設置していない町村の長は、前項第三号に掲げる業務のうち専門的な知識及び技術を必要とするもの(次条第二項及び第三項において「専門的相談指導」という。)であつて十八歳以上の知的障害者に係るものについては、知的障害者の更生援護に関する相談所(以下「知的障害者更生相談所」という。)の技術的援助及び助言を求めなければならない。

6 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、十八歳以上の知的障害者につき第四項第三号の業務を行うに当たつて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、知的障害者更生相談所の判定を求めなければならない。

(市町村の福祉事務所)

第十条 市町村の設置する福祉事務所又はその長は、この法律の施行に関し、主として前条第四項各号に掲げる業務又は同条第五項及び第六項の規定による市町村長の業務を行うものとする。

2 市の設置する福祉事務所に知的障害者福祉司を置いている福祉事務所があるときは、当該市の知的障害者福祉司を置いていない福祉事務所の長は、十八歳以上の知的障害者に係る専門的相談指導については、当該市の知的障害者福祉司の技術的援助及び助言を求めなければならない。

3 市町村の設置する福祉事務所のうち知的障害者福祉司を置いている福祉事務所の長は、十八歳以上の知的障害者に係る専門的相談指導を行うに当たつて、特に専門的な知識及び技術を必要とする場合には、知的障害者更生相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。

(連絡調整等の実施者)

第十一条 都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

 一 市町村の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡及び調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。

 二 知的障害者の福祉に関し、次に掲げる業務を行うこと。

  イ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。

  ロ 知的障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。

  ハ 十八歳以上の知的障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。

2 都道府県は、前項第二号ロに規定する相談及び指導のうち主として居宅において日常生活を営む知的障害者及びその介護を行う者に係るものについては、これを障害者自立支援法第五条第十七項に規定する相談支援事業を行う当該都道府県以外の者に委託することができる。

(知的障害者更生相談所)

第十二条 都道府県は、知的障害者更生相談所を設けなければならない。

2 知的障害者更生相談所は、知的障害者の福祉に関し、主として前条第一項第一号に掲げる業務(第十六条第一項第二号の措置に係るものに限る。)並びに前条第一項第二号ロ及びハに掲げる業務並びに障害者自立支援法第二十二条第二項及び第三項並びに第二十六条第一項に規定する業務を行うものとする。

3 知的障害者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項の業務を行うことができる。

4 前三項に定めるもののほか、知的障害者更生相談所に関し必要な事項は、政令で定める。

(知的障害者福祉司)

第十三条 都道府県は、その設置する知的障害者更生相談所に、知的障害者福祉司を置かなければならない。

2 市町村は、その設置する福祉事務所に、知的障害者福祉司を置くことができる。

3 都道府県の知的障害者福祉司は、知的障害者更生相談所の長の命を受けて、次に掲げる業務を行うものとする。

 一 第十一条第一項第一号に掲げる業務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。

 二 知的障害者の福祉に関し、第十一条第一項第二号ロに掲げる業務を行うこと。

4 市町村の知的障害者福祉司は、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の命を受けて、知的障害者の福祉に関し、主として、次の業務を行うものとする。

 一 福祉事務所の所員に対し、技術的指導を行うこと。

 二 第九条第四項第三号に掲げる業務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。

5 市の知的障害者福祉司は、第十条第二項の規定により技術的援助及び助言を求められたときは、これに協力しなければならない。この場合において、特に専門的な知識及び技術が必要であると認めるときは、知的障害者更生相談所に当該技術的援助及び助言を求めるよう助言しなければならない。

第十四条 知的障害者福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、任用しなければならない。

 一 社会福祉法に定める社会福祉主事たる資格を有する者であつて、知的障害者の福祉に関する事業に二年以上従事した経験を有するもの

 二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者

 三 医師

 四 知的障害者の福祉に関する事業に従事する職員を養成する学校その他の施設で厚生労働大臣の指定するものを卒業した者

 五 前各号に準ずる者であつて、知的障害者福祉司として必要な学識経験を有するもの

(民生委員の協力)

第十五条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長、知的障害者福祉司又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

(知的障害者相談員)

第十五条の二 都道府県は、知的障害者の福祉の増進を図るため、知的障害者又はその保護者(配偶者、親権を行う者、後見人その他の者で、知的障害者を現に保護するものをいう。以下同じ。)の相談に応じ、及び知的障害者の更生のために必要な援助を行うことを、社会的信望があり、かつ、知的障害者に対する更生援護に熱意と識見を持つている者に委託することができる。

2 前項の規定により委託を受けた者は、知的障害者相談員と称する。

3 知的障害者相談員は、その委託を受けた業務を行うに当たつては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない。

(支援体制の整備等)

第十五条の三 市町村は、この章に規定する更生援護、障害者自立支援法の規定による自立支援給付及び地域生活支援事業その他地域の実情に応じたきめ細かな福祉サービスが積極的に提供され、知的障害者が、心身の状況、その置かれている環境等に応じて、自立した日常生活及び社会生活を営むために最も適切な支援が総合的に受けられるように、福祉サービスを提供する者又はこれらに参画する者の活動の連携及び調整を図る等地域の実情に応じた体制の整備に努めなければならない。

2 市町村は、前項の体制の整備及びこの章に規定する更生援護の実施に当たつては、知的障害者が引き続き居宅において日常生活を営むことができるよう配慮しなければならない。

第二節 障害福祉サービス、障害者支援施設等への入所等の措置

(障害福祉サービス)

第十五条の四 市町村は、障害者自立支援法第五条第一項に規定する障害福祉サービス(同条第五項に規定する療養介護及び同条第十一項に規定する施設入所支援(以下この条及び次条第一項第二号において「療養介護等」という。)を除く。以下「障害福祉サービス」という。)を必要とする知的障害者が、やむを得ない事由により介護給付費等(療養介護等に係るものを除く。)の支給を受けることが著しく困難であると認めるときは、その知的障害者につき、政令で定める基準に従い、障害福祉サービスを提供し、又は当該市町村以外の者に障害福祉サービスの提供を委託することができる。

(障害者支援施設等への入所等の措置)

第十六条 市町村は、十八歳以上の知的障害者につき、その福祉を図るため、必要に応じ、次の措置を採らなければならない。

 一 知的障害者又はその保護者を知的障害者福祉司又は社会福祉主事に指導させること。

 二 やむを得ない事由により介護給付費等(療養介護等に係るものに限る。)の支給を受けることが著しく困難であると認めるときは、当該市町村の設置する障害者支援施設若しくは障害者自立支援法第五条第五項の厚生労働省令で定める施設(以下「障害者支援施設等」という。)に入所させてその更生援護を行い、又は都道府県若しくは他の市町村若しくは社会福祉法人の設置する障害者支援施設等若しくはのぞみの園に入所させてその更生援護を行うことを委託すること。

 三 知的障害者の更生援護を職親(知的障害者を自己の下に預かり、その更生に必要な指導訓練を行うことを希望する者であつて、市町村長が適当と認めるものをいう。)に委託すること。

2 市町村は、前項第二号又は第三号の措置を採るに当たつて、医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、あらかじめ、知的障害者更生相談所の判定を求めなければならない。

(措置の解除に係る説明等)

第十七条 市町村長は、第十五条の四又は前条第一項の措置を解除する場合には、あらかじめ、当該措置に係る者又はその保護者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。ただし、当該措置に係る者又はその保護者から当該措置の解除の申出があつた場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。

(行政手続法の適用除外)

第十八条 第十五条の四又は第十六条第一項の措置を解除する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

第十九条及び第二十条 削除

(受託義務)

第二十一条 障害者自立支援法第五条第一項に規定する障害福祉サービス事業を行う者又は障害者支援施設等若しくはのぞみの園の設置者は、第十五条の四又は第十六条第一項第二号の規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

第三章 費用

(市町村の支弁)

第二十二条 次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。

 一 第十三条第二項の規定により市町村が設置する知的障害者福祉司に要する費用

 二 第十五条の四の規定により市町村が行う行政措置に要する費用

 三 第十六条の規定により市町村が行う行政措置に要する費用

(都道府県の支弁)

第二十三条 次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。

 一 第十二条第一項の規定により都道府県が設置する知的障害者更生相談所に要する費用

 二 第十三条第一項の規定により都道府県が設置する知的障害者福祉司に要する費用

第二十四条 削除

(都道府県の負担)

第二十五条 都道府県は、政令の定めるところにより、第二十二条の規定により市町村が支弁した費用について、次に掲げるものを負担する。

 一 第二十二条第二号の費用(次号に掲げる費用を除く。)については、その四分の一

 二 第二十二条第二号の費用(第九条第一項に規定する居住地を有しないか、又は居住地が明らかでない知的障害者(第四号において「居住地不明知的障害者」という。)についての行政措置に要する費用に限る。)については、その十分の五

 三 第二十二条第三号の費用(第十六条第一項第二号の規定による行政措置に要する費用に限り、次号に掲げる費用を除く。)については、その四分の一

 四 第二十二条第三号の費用(居住地不明知的障害者について第十六条第一項第二号の規定により市町村が行う行政措置に要する費用に限る。)については、その十分の五

(国の負担)

第二十六条 国は、政令の定めるところにより、第二十二条の規定により市町村が支弁した費用について、次に掲げる費用の十分の五を負担する。

 一 第二十二条第二号の費用

 二 第二十二条第三号の費用のうち、第十六条第一項第二号の規定による行政措置に要する費用

(費用の徴収)

第二十七条 第十五条の四又は第十六条第一項第二号の規定による行政措置に要する費用を支弁すべき市町村の長は、当該知的障害者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。)から、その負担能力に応じて、当該行政措置に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。

(準用規定)

第二十七条の二 社会福祉法第五十八条第二項から第四項までの規定は、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第三号の規定又は同法第三条第一項第四号及び第二項の規定により普通財産の譲渡又は貸付けを受けた社会福祉法人に準用する。

第四章 雑則

(審判の請求)

第二十八条 市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

(町村の一部事務組合等)

第二十九条 町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

(大都市等の特例)

第三十条 この法律の規定中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。

(権限の委任)

第三十一条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

(実施命令)

第三十二条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条-第五条)

 第二章 精神保健福祉センター(第六条-第八条)

 第三章 地方精神保健福祉審議会及び精神医療審査会(第九条-第十七条)

 第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神病院

  第一節 精神保健指定医(第十八条-第十九条の六)

  第二節 登録研修機関(第十九条の六の二-第十九条の六の十七)

  第三節 精神病院(第十九条の七-第十九条の十)

 第五章 医療及び保護

  第一節 保護者(第二十条-第二十二条の二)

  第二節 任意入院(第二十二条の三・第二十二条の四)

  第三節 指定医の診察及び措置入院(第二十三条-第三十二条)

  第四節 医療保護入院等(第三十三条-第三十五条)

  第五節 精神病院における処遇等(第三十六条-第四十条)

  第六節 雑則(第四十一条-第四十四条)

 第六章 保健及び福祉

  第一節 精神障害者保健福祉手帳(第四十五条・第四十五条の二)

  第二節 相談指導等(第四十六条-第五十一条)

 第七章 精神障害者社会復帰促進センター(第五十一条の二-第五十一条の十一)

 第八章 雑則(第五十一条の十一の二-第五十一条の十五)

 第九章 罰則(第五十二条-第五十七条)

 附則

第一章 総則

(この法律の目的)

第一条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。

(国及び地方公共団体の義務)

第二条 国及び地方公共団体は、障害者自立支援法の規定による自立支援給付及び地域生活支援事業と相まつて、医療施設及び教育施設を充実する等精神障害者の医療及び保護並びに保健及び福祉に関する施策を総合的に実施することによつて精神障害者が社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をすることができるように努力するとともに、精神保健に関する調査研究の推進及び知識の普及を図る等精神障害者の発生の予防その他国民の精神保健の向上のための施策を講じなければならない。

(国民の義務)

第三条 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

(精神障害者の社会復帰、自立及び社会参加への配慮)

第四条 医療施設の設置者又は社会適応訓練事業を行う者は、その施設を運営し、又はその事業を行うに当たつては、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、地域に即した創意と工夫を行い、及び地域住民等の理解と協力を得るように努めなければならない。

2 国、地方公共団体、医療施設の設置者及び地域生活援助事業又は社会適応訓練事業を行う者は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

(定義)

第五条 この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。

第二章 精神保健福祉センター

(精神保健福祉センター)

第六条 都道府県は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関(以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする。

2 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。

 一 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。

 二 精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。

 三 精神医療審査会の事務を行うこと。

 四 第四十五条第一項の申請に対する決定及び障害者自立支援法第五十二条第一項に規定する支給認定(精神障害者に係るものに限る。)に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。

 五 障害者自立支援法第二十二条第二項の規定により、市町村が同条第一項に規定する支給要否決定を行うに当たり意見を述べること。

 六 障害者自立支援法第二十六条第一項の規定により、市町村に対し技術的事項についての協力その他必要な援助を行うこと。

(国の補助)

第七条 国は、都道府県が前条の施設を設置したときは、政令の定めるところにより、その設置に要する経費については二分の一、その運営に要する経費については三分の一を補助する。

(条例への委任)

第八条 この法律に定めるもののほか、精神保健福祉センターに関して必要な事項は、条例で定める。

第三章 地方精神保健福祉審議会及び精神医療審査会

(地方精神保健福祉審議会)

第九条 精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項を調査審議させるため、都道府県は、条例で、精神保健福祉に関する審議会その他の合議制の機関(以下「地方精神保健福祉審議会」という。)を置くことができる。

2 地方精神保健福祉審議会は、都道府県知事の諮問に答えるほか、精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項に関して都道府県知事に意見を具申することができる。

3 前二項に定めるもののほか、地方精神保健福祉審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。

第十条及び第十一条 削除

(精神医療審査会)

第十二条 第三十八条の三第二項(同条第六項において準用する場合を含む。)及び第三十八条の五第二項の規定による審査を行わせるため、都道府県に、精神医療審査会を置く。

(委員)

第十三条 精神医療審査会の委員は、精神障害者の医療に関し学識経験を有する者(第十八条第一項に規定する精神保健指定医である者に限る。)、法律に関し学識経験を有する者及びその他の学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。

2 委員の任期は、二年とする。

(審査の案件の取扱い)

第十四条 精神医療審査会は、その指名する委員五人をもつて構成する合議体で、審査の案件を取り扱う。

2 合議体を構成する委員は、次の各号に掲げる者とし、その員数は、当該各号に定める員数以上とする。

 一 精神障害者の医療に関し学識経験を有する者 二

 二 法律に関し学識経験を有する者 一

 三 その他の学識経験を有する者 一

(政令への委任)

第十五条 この法律で定めるもののほか、精神医療審査会に関し必要な事項は、政令で定める。

第十六条及び第十七条 削除

第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神病院

第一節 精神保健指定医

(精神保健指定医)

第十八条 厚生労働大臣は、その申請に基づき、次に該当する医師のうち第十九条の四に規定する職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者を、精神保健指定医(以下「指定医」という。)に指定する。

 一 五年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。

 二 三年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。

 三 厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。

 四 厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。

2 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、第十九条の二第一項又は第二項の規定により指定医の指定を取り消された後五年を経過していない者その他指定医として著しく不適当と認められる者については、前項の指定をしないことができる。

3 厚生労働大臣は、第一項第三号に規定する精神障害及びその診断又は治療に従事した経験の程度を定めようとするとき、同項の規定により指定医の指定をしようとするとき又は前項の規定により指定医の指定をしないものとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

(指定後の研修)

第十九条 指定医は、五の年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下この条において同じ。)ごとに厚生労働大臣が定める年度において、厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を受けなければならない。

2 前条第一項の規定による指定は、当該指定を受けた者が前項に規定する研修を受けなかつたときは、当該研修を受けるべき年度の終了の日にその効力を失う。ただし、当該研修を受けなかつたことにつき厚生労働省令で定めるやむを得ない理由が存すると厚生労働大臣が認めたときは、この限りでない。

(指定の取消し等)

第十九条の二 指定医がその医師免許を取り消され、又は期間を定めて医業の停止を命ぜられたときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消さなければならない。

2 指定医がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき又はその職務に関し著しく不当な行為を行つたときその他指定医として著しく不適当と認められるときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消し、又は期間を定めてその職務の停止を命ずることができる。

3 厚生労働大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

4 都道府県知事は、指定医について第二項に該当すると思料するときは、その旨を厚生労働大臣に通知することができる。

第十九条の三 削除

(職務)

第十九条の四 指定医は、第二十二条の四第三項及び第二十九条の五の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定、第三十三条第一項及び第三十三条の四第一項の規定による入院を必要とするかどうか及び第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないかどうかの判定、第三十六条第三項に規定する行動の制限を必要とするかどうかの判定、第三十八条の二第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する報告事項に係る入院中の者の診察並びに第四十条の規定により一時退院させて経過を見ることが適当かどうかの判定の職務を行う。

2 指定医は、前項に規定する職務のほか、公務員として、次に掲げる職務を行う。

 一 第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定による入院を必要とするかどうかの判定

 二 第二十九条の二の二第三項(第三十四条第四項において準用する場合を含む。)に規定する行動の制限を必要とするかどうかの判定

 三 第二十九条の四第二項の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定

 四 第三十四条第一項及び第三項の規定による移送を必要とするかどうかの判定

 五 第三十八条の三第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)及び第三十八条の五第四項の規定による診察

 六 第三十八条の六第一項の規定による立入検査、質問及び診察

 七 第三十八条の七第二項の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定

 八 第四十五条の二第四項の規定による診察

(診療録の記載義務)

第十九条の四の二 指定医は、前条第一項に規定する職務を行つたときは、遅滞なく、当該指定医の氏名その他厚生労働省令で定める事項を診療録に記載しなければならない。

(指定医の必置)

第十九条の五 第二十九条第一項、第二十九条の二第一項、第三十三条第一項、第二項若しくは第四項又は第三十三条の四第一項若しくは第二項の規定により精神障害者を入院させている精神病院(精神病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。第十九条の十を除き、以下同じ。)の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、その精神病院に常時勤務する指定医(第十九条の二第二項の規定によりその職務を停止されている者を除く。第五十三条第一項を除き、以下同じ。)を置かなければならない。

(政令及び省令への委任)

第十九条の六 この法律に規定するもののほか、指定医の指定に関して必要な事項は政令で、第十八条第一項第四号及び第十九条第一項の規定による研修に関して必要な事項は厚生労働省令で定める。

第二節 登録研修機関

(登録)

第十九条の六の二 第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の登録(以下この節において「登録」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の研修(以下この節において「研修」という。)を行おうとする者の申請により行う。

(欠格条項)

第十九条の六の三 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

 一 この法律若しくはこの法律に基づく命令又は障害者自立支援法若しくは同法に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

 二 第十九条の六の十三の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者

 三 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

(登録基準)

第十九条の六の四 厚生労働大臣は、第十九条の六の二の規定により登録を申請した者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。

 一 別表の第一欄に掲げる科目を教授し、その時間数が同表の第三欄又は第四欄に掲げる時間数以上であること。

 二 別表の第二欄で定める条件に適合する学識経験を有する者が前号に規定する科目を教授するものであること。

2 登録は、研修機関登録簿に登録を受ける者の氏名又は名称、住所、登録の年月日及び登録番号を記載してするものとする。

(登録の更新)

第十九条の六の五 登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

2 前三条の規定は、前項の登録の更新について準用する。

(研修の実施義務)

第十九条の六の六 登録を受けた者(以下「登録研修機関」という。)は、正当な理由がある場合を除き、毎事業年度、研修の実施に関する計画(以下「研修計画」という。)を作成し、研修計画に従つて研修を行わなければならない。

2 登録研修機関は、公正に、かつ、第十八条第一項第四号又は第十九条第一項の厚生労働省令で定めるところにより研修を行わなければならない。

3 登録研修機関は、毎事業年度の開始前に、第一項の規定により作成した研修計画を厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

(変更の届出)

第十九条の六の七 登録研修機関は、その氏名若しくは名称又は住所を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

(業務規程)

第十九条の六の八 登録研修機関は、研修の業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、研修の業務の開始前に、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 業務規程には、研修の実施方法、研修に関する料金その他の厚生労働省令で定める事項を定めておかなければならない。

(業務の休廃止)

第十九条の六の九 登録研修機関は、研修の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

(財務諸表等の備付け及び閲覧等)

第十九条の六の十 登録研修機関は、毎事業年度経過後三月以内に、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第五十七条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。

2 研修を受けようとする者その他の利害関係人は、登録研修機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録研修機関の定めた費用を支払わなければならない。

 一 財務諸表等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 二 前号の書面の謄本又は抄本の請求

 三 財務諸表等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

(適合命令)

第十九条の六の十一 厚生労働大臣は、登録研修機関が第十九条の六の四第一項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、その登録研修機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(改善命令)

第十九条の六の十二 厚生労働大臣は、登録研修機関が第十九条の六の六第一項又は第二項の規定に違反していると認めるときは、その登録研修機関に対し、研修を行うべきこと又は研修の実施方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(登録の取消し等)

第十九条の六の十三 厚生労働大臣は、登録研修機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて研修の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 第十九条の六の三第一号又は第三号に該当するに至つたとき。

 二 第十九条の六の六第三項、第十九条の六の七、第十九条の六の八、第十九条の六の九、第十九条の六の十第一項又は次条の規定に違反したとき。

 三 正当な理由がないのに第十九条の六の十第二項各号の規定による請求を拒んだとき。

 四 第十九条の六の十一又は前条の規定による命令に違反したとき。

 五 不正の手段により登録を受けたとき。

(帳簿の備付け)

第十九条の六の十四 登録研修機関は、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を備え、研修に関し厚生労働省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

(厚生労働大臣による研修業務の実施)

第十九条の六の十五 厚生労働大臣は、登録を受ける者がいないとき、第十九条の六の九の規定による研修の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があつたとき、第十九条の六の十三の規定により登録を取り消し、又は登録研修機関に対し研修の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、登録研修機関が天災その他の事由により研修の業務の全部又は一部を実施することが困難となつたときその他必要があると認めるときは、当該研修の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。

2 前項の規定により厚生労働大臣が行う研修を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める金額の手数料を納付しなければならない。

3 厚生労働大臣が第一項の規定により研修の業務の全部又は一部を自ら行う場合における研修の業務の引継ぎその他の必要な事項については、厚生労働省令で定める。

(報告の徴収及び立入検査)

第十九条の六の十六 厚生労働大臣は、研修の業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、登録研修機関に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、その事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(公示)

第十九条の六の十七 厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を公示しなければならない。

 一 登録をしたとき。

 二 第十九条の六の七の規定による届出があつたとき。

 三 第十九条の六の九の規定による届出があつたとき。

 四 第十九条の六の十三の規定により登録を取り消し、又は研修の業務の停止を命じたとき。

 五 第十九条の六の十五の規定により厚生労働大臣が研修の業務の全部若しくは一部を自ら行うものとするとき、又は自ら行つていた研修の業務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。

第三節 精神病院

(都道府県立精神病院)

第十九条の七 都道府県は、精神病院を設置しなければならない。ただし、次条の規定による指定病院がある場合においては、その設置を延期することができる。

2 都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。次条において同じ。)が精神病院を設置している場合には、当該都道府県については、前項の規定は、適用しない。

(指定病院)

第十九条の八 都道府県知事は、国、都道府県並びに都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(以下「国等」という。)以外の者が設置した精神病院であつて厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部を、その設置者の同意を得て、都道府県が設置する精神病院に代わる施設(以下「指定病院」という。)として指定することができる。

(指定の取消し)

第十九条の九 都道府県知事は、指定病院が、前条の基準に適合しなくなつたとき、又はその運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定を取り消すことができる。

2 都道府県知事は、前項の規定によりその指定を取り消そうとするときは、あらかじめ、地方精神保健福祉審議会(地方精神保健福祉審議会が置かれていない都道府県にあつては、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七十一条の二第一項に規定する都道府県医療審議会)の意見を聴かなければならない。

3 厚生労働大臣は、第一項に規定する都道府県知事の権限に属する事務について、指定病院に入院中の者の処遇を確保する緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し同項の事務を行うことを指示することができる。

(国の補助)

第十九条の十 国は、都道府県が設置する精神病院及び精神病院以外の病院に設ける精神病室の設置及び運営に要する経費(第三十条第一項の規定により都道府県が負担する費用を除く。次項において同じ。)に対し、政令の定めるところにより、その二分の一を補助する。

2 国は、営利を目的としない法人が設置する精神病院及び精神病院以外の病院に設ける精神病室の設置及び運営に要する経費に対し、政令の定めるところにより、その二分の一以内を補助することができる。

第五章 医療及び保護

第一節 保護者

(保護者)

第二十条 精神障害者については、その後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者が保護者となる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は保護者とならない。

 一 行方の知れない者

 二 当該精神障害者に対して訴訟をしている者、又はした者並びにその配偶者及び直系血族

 三 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人

 四 破産者

 五 成年被後見人又は被保佐人

 六 未成年者

2 保護者が数人ある場合において、その義務を行うべき順位は、次のとおりとする。ただし、本人の保護のため特に必要があると認める場合には、後見人又は保佐人以外の者について家庭裁判所は利害関係人の申立てによりその順位を変更することができる。

 一 後見人又は保佐人

 二 配偶者

 三 親権を行う者

 四 前二号の者以外の扶養義務者のうちから家庭裁判所が選任した者

3 前項ただし書の規定による順位の変更及び同項第四号の規定による選任は家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の適用については、同法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。

第二十一条 前条第二項各号の保護者がないとき又はこれらの保護者がその義務を行うことができないときはその精神障害者の居住地を管轄する市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)、居住地がないか又は明らかでないときはその精神障害者の現在地を管轄する市町村長が保護者となる。

第二十二条 保護者は、精神障害者(第二十二条の四第二項に規定する任意入院者及び病院又は診療所に入院しないで行われる精神障害の医療を継続して受けている者を除く。以下この項及び第三項において同じ。)に治療を受けさせ、及び精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない。

2 保護者は、精神障害者の診断が正しく行われるよう医師に協力しなければならない。

3 保護者は、精神障害者に医療を受けさせるに当たつては、医師の指示に従わなければならない。

第二十二条の二 保護者は、第四十一条の規定による義務(第二十九条の三又は第二十九条の四第一項の規定により退院する者の引取りに係るものに限る。)を行うに当たり必要があるときは、当該精神病院若しくは指定病院の管理者又は当該精神病院若しくは指定病院と関連する障害者自立支援法第五条第一項に規定する障害福祉サービスに係る事業(以下「障害福祉サービス事業」という。)を行う者に対し、当該精神障害者の社会復帰の促進に関し、相談し、及び必要な援助を求めることができる。

第二節 任意入院

(任意入院)

第二十二条の三 精神病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。

第二十二条の四 精神障害者が自ら入院する場合においては、精神病院の管理者は、その入院に際し、当該精神障害者に対して第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせ、当該精神障害者から自ら入院する旨を記載した書面を受けなければならない。

2 精神病院の管理者は、自ら入院した精神障害者(以下「任意入院者」という。)から退院の申出があつた場合においては、その者を退院させなければならない。

3 前項に規定する場合において、精神病院の管理者は、指定医による診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、同項の規定にかかわらず、七十二時間を限り、その者を退院させないことができる。

4 前項に規定する場合において、精神病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る。)の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて指定医以外の医師(医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十六条の四第一項の規定による登録を受けていることその他厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。以下「特定医師」という。)に任意入院者の診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、前二項の規定にかかわらず、十二時間を限り、その者を退院させないことができる。

5 第十九条の四の二の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。この場合において、同条中「指定医は、前条第一項」とあるのは「第二十二条の四第四項に規定する特定医師は、同項」と、「当該指定医」とあるのは「当該特定医師」と読み替えるものとする。

6 精神病院の管理者は、第四項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

7 精神病院の管理者は、第三項又は第四項後段の規定による措置を採る場合においては、当該任意入院者に対し、当該措置を採る旨、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

第三節 指定医の診察及び措置入院

(診察及び保護の申請)

第二十三条 精神障害者又はその疑いのある者を知つた者は、誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。

2 前項の申請をするには、左の事項を記載した申請書をもよりの保健所長を経て都道府県知事に提出しなければならない。

 一 申請者の住所、氏名及び生年月日

 二 本人の現在場所、居住地、氏名、性別及び生年月日

 三 症状の概要

 四 現に本人の保護の任に当つている者があるときはその者の住所及び氏名

(警察官の通報)

第二十四条 警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

(検察官の通報)

第二十五条 検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役、禁錮又は拘留の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判を除く。)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第三十三条第一項の申立てをしたときは、この限りでない。

2 検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者若しくはその疑いのある被疑者若しくは被告人又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者(同法第二条第三項に規定する対象者をいう。第二十六条の三及び第四十四条第一項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。

(保護観察所の長の通報)

第二十五条の二 保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者又はその疑いのある者であることを知つたときは、すみやかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。

(矯正施設の長の通報)

第二十六条 矯正施設(拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院をいう。以下同じ。)の長は、精神障害者又はその疑のある収容者を釈放、退院又は退院させようとするときは、あらかじめ、左の事項を本人の帰住地(帰住地がない場合は当該矯正施設の所在地)の都道府県知事に通報しなければならない。

 一 本人の帰住地、氏名、性別及び生年月日

 二 症状の概要

 三 釈放、退院又は退所の年月日

 四 引取人の住所及び氏名

(精神病院の管理者の届出)

第二十六条の二 精神病院の管理者は、入院中の精神障害者であつて、第二十九条第一項の要件に該当すると認められるものから退院の申出があつたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る通報)

第二十六条の三 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第六項に規定する指定通院医療機関の管理者及び保護観察所の長は、同法の対象者であつて同条第五項に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

(申請等に基づき行われる指定医の診察等)

第二十七条 都道府県知事は、第二十三条から前条までの規定による申請、通報又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。

2 都道府県知事は、入院させなければ精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあることが明らかである者については、第二十三条から前条までの規定による申請、通報又は届出がない場合においても、その指定する指定医をして診察をさせることができる。

3 都道府県知事は、前二項の規定により診察をさせる場合には、当該職員を立ち会わせなければならない。

4 指定医及び前項の当該職員は、前三項の職務を行うに当たつて必要な限度においてその者の居住する場所へ立ち入ることができる。

5 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入りについて準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第二十七条第四項」と、「当該職員」とあるのは「指定医及び当該職員」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第二十七条第四項」と読み替えるものとする。

(診察の通知)

第二十八条 都道府県知事は、前条第一項の規定により診察をさせるに当つて現に本人の保護の任に当つている者がある場合には、あらかじめ、診察の日時及び場所をその者に通知しなければならない。

2 後見人又は保佐人、親権を行う者、配偶者その他現に本人の保護の任に当たつている者は、前条第一項の診察に立ち会うことができる。

(判定の基準)

第二十八条の二 第二十七条第一項又は第二項の規定により診察をした指定医は、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該診察をした者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を行わなければならない。

(都道府県知事による入院措置)

第二十九条 都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神病院又は指定病院に入院させることができる。

2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の規定による措置を採る場合においては、当該精神障害者に対し、当該入院措置を採る旨、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

4 国等の設置した精神病院及び指定病院の管理者は、病床(病院の一部について第十九条の八の指定を受けている指定病院にあつてはその指定に係る病床)に既に第一項又は次条第一項の規定により入院をさせた者がいるため余裕がない場合のほかは、第一項の精神障害者を入院させなければならない。

第二十九条の二 都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者又はその疑いのある者について、急速を要し、第二十七条、第二十八条及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第一項に規定する精神病院又は指定病院に入院させることができる。

2 都道府県知事は、前項の措置をとつたときは、すみやかに、その者につき、前条第一項の規定による入院措置をとるかどうかを決定しなければならない。

3 第一項の規定による入院の期間は、七十二時間を超えることができない。

4 第二十七条第四項及び第五項並びに第二十八条の二の規定は第一項の規定による診察について、前条第三項の規定は第一項の規定による措置を採る場合について、同条第四項の規定は第一項の規定により入院する者の入院について準用する。

第二十九条の二の二 都道府県知事は、第二十九条第一項又は前条第一項の規定による入院措置を採ろうとする精神障害者を、当該入院措置に係る病院に移送しなければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定により移送を行う場合においては、当該精神障害者に対し、当該移送を行う旨その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の規定による移送を行うに当たつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたときは、その者の医療又は保護に欠くことのできない限度において、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限を行うことができる。

第二十九条の三 第二十九条第一項に規定する精神病院又は指定病院の管理者は、第二十九条の二第一項の規定により入院した者について、都道府県知事から、第二十九条第一項の規定による入院措置を採らない旨の通知を受けたとき、又は第二十九条の二第三項の期間内に第二十九条第一項の規定による入院措置を採る旨の通知がないときは、直ちに、その者を退院させなければならない。

(入院措置の解除)

第二十九条の四 都道府県知事は、第二十九条第一項の規定により入院した者(以下「措置入院者」という。)が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を退院させなければならない。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神病院又は指定病院の管理者の意見を聞くものとする。

2 前項の場合において都道府県知事がその者を退院させるには、その者が入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められることについて、その指定する指定医による診察の結果又は次条の規定による診察の結果に基づく場合でなければならない。

第二十九条の五 措置入院者を入院させている精神病院又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

(入院措置の場合の診療方針及び医療に要する費用の額)

第二十九条の六 第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により入院する者について国等の設置した精神病院又は指定病院が行う医療に関する診療方針及びその医療に要する費用の額の算定方法は、健康保険の診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の例による。

2 前項に規定する診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び医療に要する費用の額の算定方法は、厚生労働大臣の定めるところによる。

(社会保険診療報酬支払基金への事務の委託)

第二十九条の七 都道府県は、第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により入院する者について国等の設置した精神病院又は指定病院が行つた医療が前条に規定する診療方針に適合するかどうかについての審査及びその医療に要する費用の額の算定並びに国等又は指定病院の設置者に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。

(費用の負担)

第三十条 第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。

2 国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。

(他の法律による医療に関する給付との調整)

第三十条の二 前条第一項の規定により費用の負担を受ける精神障害者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。

(費用の徴収)

第三十一条 都道府県知事は、第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により入院させた精神障害者又はその扶養義務者が入院に要する費用を負担することができると認めたときは、その費用の全部又は一部を徴収することができる。

第三十二条 削除

第四節 医療保護入院等

(医療保護入院)

第三十三条 精神病院の管理者は、次に掲げる者について、保護者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる。

 一 指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの

 二 第三十四条第一項の規定により移送された者

2 精神病院の管理者は、前項第一号に規定する者の保護者について第二十条第二項第四号の規定による家庭裁判所の選任を要し、かつ、当該選任がされていない場合又は第三十四条第二項の規定により移送された場合において、前項第一号に規定する者又は同条第二項の規定により移送された者の扶養義務者の同意があるときは、本人の同意がなくても、当該選任がされるまでの間、四週間を限り、その者を入院させることができる。

3 前項の規定による入院が行われている間は、同項の同意をした扶養義務者は、第二十条第二項第四号に掲げる者に該当するものとみなし、第一項の規定を適用する場合を除き、同条に規定する保護者とみなす。

4 第一項又は第二項に規定する場合において、精神病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る。)の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、第一項又は第二項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、十二時間を限り、その者を入院させることができる。

5 第十九条の四の二の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。この場合において、同条中「指定医は、前条第一項」とあるのは「第二十二条の四第四項に規定する特定医師は、第三十三条第四項」と、「当該指定医」とあるのは「当該特定医師」と読み替えるものとする。

6 精神病院の管理者は、第四項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

7 精神病院の管理者は、第一項、第二項又は第四項後段の規定による措置を採つたときは、十日以内に、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を当該入院について同意をした者の同意書を添え、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

第三十三条の二 精神病院の管理者は、前条第一項の規定により入院した者(以下「医療保護入院者」という。)を退院させたときは、十日以内に、その旨及び厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

第三十三条の三 精神病院の管理者は、第三十三条第一項、第二項又は第四項後段の規定による措置を採る場合においては、当該精神障害者に対し、当該入院措置を採る旨、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。ただし、当該入院措置を採つた日から四週間を経過する日までの間であつて、当該精神障害者の症状に照らし、その者の医療及び保護を図る上で支障があると認められる間においては、この限りでない。この場合において、精神病院の管理者は、遅滞なく、厚生労働省令で定める事項を診療録に記載しなければならない。

(応急入院)

第三十三条の四 厚生労働大臣の定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定する精神病院の管理者は、医療及び保護の依頼があつた者について、急速を要し、保護者(第三十三条第二項に規定する場合にあつては、その者の扶養義務者)の同意を得ることができない場合において、その者が、次に該当する者であるときは、本人の同意がなくても、七十二時間を限り、その者を入院させることができる。

 一 指定医の診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの

 二 第三十四条第三項の規定により移送された者

2 前項に規定する場合において、同項に規定する精神病院の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に同項の医療及び保護の依頼があつた者の診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、その者が、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、同項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、十二時間を限り、その者を入院させることができる。

3 第十九条の四の二の規定は、前項の規定により診察を行つた場合について準用する。この場合において、同条中「指定医は、前条第一項」とあるのは「第二十二条の四第四項に規定する特定医師は、第三十三条の四第二項」と、「当該指定医」とあるのは「当該特定医師」と読み替えるものとする。

4 第一項に規定する精神病院の管理者は、第二項後段の規定による措置を採つたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該措置に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

5 第一項に規定する精神病院の管理者は、同項又は第二項後段の規定による措置を採つたときは、直ちに、当該措置を採つた理由その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

6 都道府県知事は、第一項の指定を受けた精神病院が同項の基準に適合しなくなつたと認めたときは、その指定を取り消すことができる。

7 厚生労働大臣は、前項に規定する都道府県知事の権限に属する事務について、第一項の指定を受けた精神病院に入院中の者の処遇を確保する緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し前項の事務を行うことを指示することができる。

第三十三条の五 第十九条の九第二項の規定は前条第六項の規定による処分をする場合について、第二十九条第三項の規定は精神病院の管理者が前条第一項又は第二項後段の規定による措置を採る場合について準用する。

(医療保護入院等のための移送)

第三十四条 都道府県知事は、その指定する指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたものにつき、保護者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第一項の規定による入院をさせるため第三十三条の四第一項に規定する精神病院に移送することができる。

2 都道府県知事は、前項に規定する者の保護者について第二十条第二項第四号の規定による家庭裁判所の選任を要し、かつ、当該選任がされていない場合において、その者の扶養義務者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第二項の規定による入院をさせるため第三十三条の四第一項に規定する精神病院に移送することができる。

3 都道府県知事は、急速を要し、保護者(前項に規定する場合にあつては、その者の扶養義務者)の同意を得ることができない場合において、その指定する指定医の診察の結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十二条の三の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条の四第一項の規定による入院をさせるため同項に規定する精神病院に移送することができる。

4 第二十九条の二の二第二項及び第三項の規定は、前三項の規定による移送を行う場合について準用する。

第三十五条 削除

第五節 精神病院における処遇等

(処遇)

第三十六条 精神病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。

2 精神病院の管理者は、前項の規定にかかわらず、信書の発受の制限、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であつて、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。

3 第一項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。

第三十七条 厚生労働大臣は、前条に定めるもののほか、精神病院に入院中の者の処遇について必要な基準を定めることができる。

2 前項の基準が定められたときは、精神病院の管理者は、その基準を遵守しなければならない。

3 厚生労働大臣は、第一項の基準を定めようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。

(指定医の精神病院の管理者への報告等)

第三十七条の二 指定医は、その勤務する精神病院に入院中の者の処遇が第三十六条の規定に違反していると思料するとき又は前条第一項の基準に適合していないと認めるときその他精神病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神病院の管理者にその旨を報告すること等により、当該管理者において当該精神病院に入院中の者の処遇の改善のために必要な措置が採られるよう努めなければならない。

(相談、援助等)

第三十八条 精神病院その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者は、当該施設において医療を受ける精神障害者の社会復帰の促進を図るため、その者の相談に応じ、その者に必要な援助を行い、及びその保護者等との連絡調整を行うように努めなければならない。

(定期の報告等)

第三十八条の二 措置入院者を入院させている精神病院又は指定病院の管理者は、措置入院者の症状その他厚生労働省令で定める事項(以下この項において「報告事項」という。)を、厚生労働省令で定めるところにより、定期に、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に報告しなければならない。この場合においては、報告事項のうち厚生労働省令で定める事項については、指定医による診察の結果に基づくものでなければならない。

2 前項の規定は、医療保護入院者を入院させている精神病院の管理者について準用する。この場合において、同項中「措置入院者」とあるのは、「医療保護入院者」と読み替えるものとする。

3 都道府県知事は、条例で定めるところにより、精神病院の管理者(第三十八条の七第一項、第二項又は第四項の規定による命令を受けた者であつて、当該命令を受けた日から起算して厚生労働省令で定める期間を経過しないものその他これに準ずる者として厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、当該精神病院に入院中の任意入院者(厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)の症状その他厚生労働省令で定める事項について報告を求めることができる。

(定期の報告等による審査)

第三十八条の三 都道府県知事は、前条第一項若しくは第二項の規定による報告又は第三十三条第七項の規定による届出(同条第一項の規定による措置に係るものに限る。)があつたときは、当該報告又は届出に係る入院中の者の症状その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めなければならない。

2 精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

3 精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者に対して意見を求め、若しくはその者の同意を得て委員(指定医である者に限る。第三十八条の五第四項において同じ。)に診察させ、又はその者が入院している精神病院の管理者その他関係者に対して報告若しくは意見を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

4 都道府県知事は、第二項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は精神病院の管理者に対しその者を退院させることを命じなければならない。

5 都道府県知事は、第一項に定めるもののほか、前条第三項の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る入院中の者の症状その他厚生労働省令で定める事項を精神医療審査会に通知し、当該入院中の者についてその入院の必要があるかどうかに関し審査を求めることができる。

6 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により都道府県知事が審査を求めた場合について準用する。

(退院等の請求)

第三十八条の四 精神病院に入院中の者又はその保護者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該入院中の者を退院させ、又は精神病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができる。

(退院等の請求による審査)

第三十八条の五 都道府県知事は、前条の規定による請求を受けたときは、当該請求の内容を精神医療審査会に通知し、当該請求に係る入院中の者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を求めなければならない。

2 精神医療審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該審査に係る者について、その入院の必要があるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかに関し審査を行い、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。

3 精神医療審査会は、前項の審査をするに当たつては、当該審査に係る前条の規定による請求をした者及び当該審査に係る入院中の者が入院している精神病院の管理者の意見を聴かなければならない。ただし、精神医療審査会がこれらの者の意見を聴く必要がないと特に認めたときは、この限りでない。

4 精神医療審査会は、前項に定めるもののほか、第二項の審査をするに当たつて必要があると認めるときは、当該審査に係る入院中の者の同意を得て委員に診察させ、又はその者が入院している精神病院の管理者その他関係者に対して報告を求め、診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問することができる。

5 都道府県知事は、第二項の規定により通知された精神医療審査会の審査の結果に基づき、その入院が必要でないと認められた者を退院させ、又は当該精神病院の管理者に対しその者を退院させることを命じ若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じなければならない。

6 都道府県知事は、前条の規定による請求をした者に対し、当該請求に係る精神医療審査会の審査の結果及びこれに基づき採つた措置を通知しなければならない。

(報告徴収等)

第三十八条の六 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神病院の管理者に対し、当該精神病院に入院中の者の症状若しくは処遇に関し、報告を求め、若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、当該職員若しくはその指定する指定医に、精神病院に立ち入り、これらの事項に関し、診療録その他の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させ、若しくは当該精神病院に入院中の者その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神病院に立ち入り、当該精神病院に入院中の者を診察させることができる。

2 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神病院の管理者、精神病院に入院中の者又は第三十三条第一項、第二項若しくは第四項の規定による入院について同意をした者に対し、この法律による入院に必要な手続に関し、報告を求め、又は帳簿書類の提出若しくは提示を命じることができる。

3 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、第一項の規定による立入検査、質問又は診察について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第三十八条の六第一項」と、「当該職員」とあるのは「当該職員及び指定医」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第三十八条の六第一項」と読み替えるものとする。

(改善命令等)

第三十八条の七 厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神病院に入院中の者の処遇が第三十六条の規定に違反していると認めるとき又は第三十七条第一項の基準に適合していないと認めるときその他精神病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神病院の管理者に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、処遇を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその処遇の改善のために必要な措置を採ることを命ずることができる。

2 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十二条の四第三項の規定により入院している者又は第三十三条第一項、第二項若しくは第四項若しくは第三十三条の四第一項若しくは第二項の規定により入院した者について、その指定する二人以上の指定医に診察させ、各指定医の診察の結果がその入院を継続する必要があることに一致しない場合又はこれらの者の入院がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反して行われた場合には、これらの者が入院している精神病院の管理者に対し、その者を退院させることを命ずることができる。

3 都道府県知事は、前二項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた精神病院の管理者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

4 厚生労働大臣又は都道府県知事は、精神病院の管理者が第一項又は第二項の規定による命令に従わないときは、当該精神病院の管理者に対し、期間を定めて第二十二条の四第一項、第三十三条第一項、第二項及び第四項並びに第三十三条の四第一項及び第二項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部又は一部を制限することを命ずることができる。

5 都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。

(無断退去者に対する措置)

第三十九条 精神病院の管理者は、入院中の者で自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのあるものが無断で退去しその行方が不明になつたときは、所轄の警察署長に次の事項を通知してその探索を求めなければならない。

 一 退去者の住所、氏名、性別及び生年月日

 二 退去の年月日及び時刻

 三 症状の概要

 四 退去者を発見するために参考となるべき人相、服装その他の事項

 五 入院年月日

 六 保護者又はこれに準ずる者の住所及び氏名

2 警察官は、前項の探索を求められた者を発見したときは、直ちに、その旨を当該精神病院の管理者に通知しなければならない。この場合において、警察官は、当該精神病院の管理者がその者を引き取るまでの間、二十四時間を限り、その者を、警察署、病院、救護施設等の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。

(仮退院)

第四十条 第二十九条第一項に規定する精神病院又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者の症状に照らしその者を一時退院させて経過を見ることが適当であると認めるときは、都道府県知事の許可を得て、六月を超えない期間を限り仮に退院させることができる。

第六節 雑則

(保護者の引取義務等)

第四十一条 保護者は、第二十九条の三若しくは第二十九条の四第一項の規定により退院する者又は前条の規定により仮退院する者を引き取り、かつ、仮退院した者の保護に当たつては当該精神病院又は指定病院の管理者の指示に従わなければならない。

(医療及び保護の費用)

第四十二条 保護者が精神障害者の医療及び保護のために支出する費用は、当該精神障害者又はその扶養義務者が負担する。

(刑事事件に関する手続等との関係)

第四十三条 この章の規定は、精神障害者又はその疑いのある者について、刑事事件若しくは少年の保護事件の処理に関する法令の規定による手続を行ない、又は刑若しくは補導処分若しくは保護処分の執行のためこれらの者を矯正施設に収容することを妨げるものではない。

2 第二十五条、第二十六条及び第二十七条の規定を除く外、この章の規定は矯正施設に収容中の者には適用しない。

(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行つた者に係る手続等との関係)

第四十四条 この章の規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者について、同法又は同法に基づく命令の規定による手続又は処分をすることを妨げるものではない。

2 この章第二節から前節までの規定は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第三十四条第一項前段若しくは第六十条第一項前段の命令若しくは第三十七条第五項前段若しくは第六十二条第二項前段の決定により入院している者又は同法第四十二条第一項第一号若しくは第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者については、適用しない。

第六章 保健及び福祉

第一節 精神障害者保健福祉手帳

(精神障害者保健福祉手帳)

第四十五条 精神障害者(知的障害者を除く。以下この章及び次章において同じ。)は、厚生労働省令で定める書類を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に精神障害者保健福祉手帳の交付を申請することができる。

2 都道府県知事は、前項の申請に基づいて審査し、申請者が政令で定める精神障害の状態にあると認めたときは、申請者に精神障害者保健福祉手帳を交付しなければならない。

3 前項の規定による審査の結果、申請者が同項の政令で定める精神障害の状態にないと認めたときは、都道府県知事は、理由を付して、その旨を申請者に通知しなければならない。

4 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、二年ごとに、第二項の政令で定める精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。

5 第三項の規定は、前項の認定について準用する。

6 前各項に定めるもののほか、精神障害者保健福祉手帳に関し必要な事項は、政令で定める。

(精神障害者保健福祉手帳の返還等)

第四十五条の二 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、前条第二項の政令で定める精神障害の状態がなくなつたときは、速やかに精神障害者保健福祉手帳を都道府県に返還しなければならない。

2 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は、精神障害者保健福祉手帳を譲渡し、又は貸与してはならない。

3 都道府県知事は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者について、前条第二項の政令で定める状態がなくなつたと認めるときは、その者に対し精神障害者保健福祉手帳の返還を命ずることができる。

4 都道府県知事は、前項の規定により、精神障害者保健福祉手帳の返還を命じようとするときは、あらかじめその指定する指定医をして診察させなければならない。

5 前条第三項の規定は、第三項の認定について準用する。

第二節 相談指導等

(正しい知識の普及)

第四十六条 都道府県及び市町村は、精神障害についての正しい知識の普及のための広報活動等を通じて、精神障害者の社会復帰及びその自立と社会経済活動への参加に対する地域住民の関心と理解を深めるように努めなければならない。

(相談指導等)

第四十七条 都道府県、保健所を設置する市又は特別区(以下「都道府県等」という。)は、必要に応じて、次条第一項に規定する精神保健福祉相談員その他の職員又は都道府県知事若しくは保健所を設置する市若しくは特別区の長(以下「都道府県知事等」という。)が指定した医師をして、精神保健及び精神障害者の福祉に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じさせ、及びこれらの者を指導させなければならない。

2 都道府県等は、必要に応じて、医療を必要とする精神障害者に対し、その精神障害の状態に応じた適切な医療施設を紹介しなければならない。

3 精神保健福祉センター及び保健所は、精神障害者の福祉に関する相談及び指導を行うに当たつては、福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。)その他の関係行政機関との連携を図るように努めなければならない。

4 市町村(保健所を設置する市及び特別区を除く。次項において同じ。)は、第一項及び第二項の規定により都道府県が行う精神障害者に関する事務に必要な協力をするとともに、必要に応じて、精神障害者の福祉に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じ、及びこれらの者を指導しなければならない。

5 市町村は、前項に定めるもののほか、必要に応じて、精神保健に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じ、及びこれらの者を指導するように努めなければならない。

(精神保健福祉相談員)

第四十八条 都道府県及び市町村は、精神保健福祉センター及び保健所その他これらに準ずる施設に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者及びその家族等を訪問して必要な指導を行うための職員(次項において「精神保健福祉相談員」という。)を置くことができる。

2 精神保健福祉相談員は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。

(事業の利用の調整等)

第四十九条 市町村は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者から求めがあつたときは、当該精神障害者の希望、精神障害の状態、社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な指導及び訓練その他の援助の内容等を勘案し、当該精神障害者が最も適切な障害福祉サービス事業又は精神障害者社会適応訓練事業(以下「障害福祉サービス事業等」という。)の利用ができるよう、相談に応じ、必要な助言を行うものとする。この場合において、保健所長は、当該事務を障害者自立支援法第五条第十七項に規定する相談支援事業を行う者に委託することができる

2 市町村は、前項の助言を受けた精神障害者から求めがあつた場合には、必要に応じて、障害福祉サービス事業等の利用についてあつせん又は調整を行うとともに、必要に応じて、精神障害者地域生活援助事業等を行う者に対し、当該精神障害者の利用についての要請を行うものとする。

3 都道府県は、前項の規定により市町村が行うあつせん、調整及び要請に関し、その設置する保健所による技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助及び市町村相互間の連絡調整を行う。

4 障害福祉サービス事業等を行う者は、第二項のあつせん、調整及び要請に対し、できる限り協力しなければならない。

(精神障害者社会適応訓練事業)

第五十条 都道府県は、精神障害者の社会復帰の促進及び社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会適応訓練事業(通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者を精神障害者の社会経済活動への参加の促進に熱意のある者に委託して、職業を与えるとともに、社会生活への適応のために必要な訓練を行う事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。

(国の補助)

第五十一条 国は、予算の範囲内において、都道府県に対し、都道府県が行う精神障害者社会適応訓練事業に要する費用の一部を補助することができる。

第七章 精神障害者社会復帰促進センター

(指定等)

第五十一条の二 厚生労働大臣は、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと等により精神障害者の社会復帰を促進することを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、精神障害者社会復帰促進センター(以下「センター」という。)として指定することができる。

2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。

3 センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

(業務)

第五十一条の三 センターは、次に掲げる業務を行うものとする。

 一 精神障害者の社会復帰の促進に資するための啓発活動及び広報活動を行うこと。

 二 精神障害者の社会復帰の実例に即して、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと。

 三 前号に掲げるもののほか、精神障害者の社会復帰の促進に関する研究を行うこと。

 四 精神障害者の社会復帰の促進を図るため、第二号の規定による研究開発の成果又は前号の規定による研究の成果を、定期的に又は時宜に応じて提供すること。

 五 精神障害者の社会復帰の促進を図るための事業の業務に関し、当該事業に従事する者及び当該事業に従事しようとする者に対して研修を行うこと。

 六 前各号に掲げるもののほか、精神障害者の社会復帰を促進するために必要な業務を行うこと。

(センターへの協力)

第五十一条の四 精神病院その他の精神障害の医療を提供する施設の設置者及び障害福祉サービス事業等を行う者は、センターの求めに応じ、センターが前条第二号及び第三号に掲げる業務を行うために必要な限度において、センターに対し、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導に関する情報又は資料その他の必要な情報又は資料で厚生労働省令で定めるものを提供することができる。

(特定情報管理規程)

第五十一条の五 センターは、第五十一条の三第二号及び第三号に掲げる業務に係る情報及び資料(以下この条及び第五十一条の七において「特定情報」という。)の管理並びに使用に関する規程(以下この条及び第五十一条の七において「特定情報管理規程」という。)を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 厚生労働大臣は、前項の認可をした特定情報管理規程が特定情報の適正な管理又は使用を図る上で不適当となつたと認めるときは、センターに対し、当該特定情報管理規程を変更すべきことを命ずることができる。

3 特定情報管理規程に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。

(秘密保持義務)

第五十一条の六 センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、第五十一条の三第二号又は第三号に掲げる業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(解任命令)

第五十一条の七 厚生労働大臣は、センターの役員又は職員が第五十一条の五第一項の認可を受けた特定情報管理規程によらないで特定情報の管理若しくは使用を行つたとき、又は前条の規定に違反したときは、センターに対し、当該役員又は職員を解任すべきことを命ずることができる。

(事業計画等)

第五十一条の八 センターは、毎事業年度の事業計画書及び収支予算書を作成し、当該事業年度の開始前に厚生労働大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 センターは、毎事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度経過後三月以内に厚生労働大臣に提出しなければならない。

(報告及び検査)

第五十一条の九 厚生労働大臣は、第五十一条の三に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、センターに対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、その事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 第十九条の六の十六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「第五十一条の九第一項」と、同条第三項中「第一項」とあるのは「第五十一条の九第一項」と読み替えるものとする。

(監督命令)

第五十一条の十 厚生労働大臣は、この章の規定を施行するため必要な限度において、センターに対し、第五十一条の三に規定する業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

(指定の取消し等)

第五十一条の十一 厚生労働大臣は、センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第五十一条の二第一項の規定による指定を取り消すことができる。

 一 第五十一条の三に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。

 二 指定に関し不正な行為があつたとき。

 三 この章の規定又は当該規定による命令若しくは処分に違反したとき。

2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

第八章 雑則

(審判の請求)

第五十一条の十一の二 市町村長は、精神障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

(大都市の特例)

第五十一条の十二 この法律の規定中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市が処理するものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県に関する規定は、指定都市に関する規定として指定都市に適用があるものとする。

2 前項の規定により指定都市の長がした処分(地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務に係るものに限る。)に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対し再審査請求をすることができる。

(事務の区分)

第五十一条の十三 この法律(第一章から第三章まで、第十九条の二第四項、第十九条の七、第十九条の八、第十九条の九第一項、同条第二項(第三十三条の五において準用する場合を含む。)、第二十九条の七、第三十条第一項及び第三十一条、第三十三条の四第一項及び第六項並びに第六章を除く。)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(次項及び第三項において「第一号法定受託事務」という。)とする。

2 この法律(第六章第二節を除く。)の規定により保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務(保健所長に係るものに限る。)は、第一号法定受託事務とする。

3 第二十一条の規定により市町村が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とする。

(権限の委任)

第五十一条の十四 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

(経過措置)

第五十一条の十五 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第九章 罰則

第五十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 一 第三十八条の三第四項の規定による命令に違反した者

 二 第三十八条の五第五項の規定による退院の命令に違反した者

 三 第三十八条の七第二項の規定による命令に違反した者

 四 第三十八条の七第四項の規定による命令に違反した者

第五十三条 精神病院の管理者、指定医、地方精神保健福祉審議会の委員、精神医療審査会の委員、第二十二条の四第四項、第三十三条第四項若しくは第三十三条の四第二項の規定により診察を行つた特定医師若しくは第四十七条第一項の規定により都道府県知事等が指定した医師又はこれらの職にあつた者が、この法律の規定に基づく職務の執行に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 精神病院の職員又はその職にあつた者が、この法律の規定に基づく精神病院の管理者の職務の執行を補助するに際して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときも、前項と同様とする。

第五十三条の二 第五十一条の六の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第五十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 一 第十九条の六の十三の規定による停止の命令に違反した者

 二 虚偽の事実を記載して第二十三条第一項の申請をした者

第五十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第十九条の六の十六第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

 二 第二十七条第一項又は第二項の規定による診察を拒み、妨げ、若しくは忌避した者又は同条第四項の規定による立入りを拒み、若しくは妨げた者

 三 第二十九条の二第一項の規定による診察を拒み、妨げ、若しくは忌避した者又は同条第四項において準用する第二十七条第四項の規定による立入りを拒み、若しくは妨げた者

 四 第三十八条の三第三項(同条第六項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告若しくは提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、同条第三項の規定による診察を妨げ、又は同項の規定による出頭をせず、若しくは同項の規定による審問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

 五 第三十八条の五第四項の規定による報告若しくは提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による診察を妨げ、又は同項の規定による出頭をせず、若しくは同項の規定による審問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

 六 第三十八条の六第一項の規定による報告若しくは提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による検査若しくは診察を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

 七 第三十八条の六第二項の規定による報告若しくは提出若しくは提示をせず、又は虚偽の報告をした精神病院の管理者

 八 第五十一条の九第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第五十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第五十二条、第五十四条第一号又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第五十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。

 一 第十九条の四の二(第二十二条の四第五項、第三十三条第五項及び第三十三条の四第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 二 第十九条の六の九の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 三 第十九条の六の十第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各号の規定による請求を拒んだ者

 四 第十九条の六の十四の規定に違反して同条に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者

 五 第二十二条の四第七項の規定に違反した者

 六 第三十三条第七項の規定に違反した者

 七 第三十三条の四第五項の規定に違反した者

 八 第三十八条の二第一項又は同条第二項において準用する同条第一項の規定に違反した者

後見登記等に関する法律

(趣旨)

第一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)に規定する後見(後見開始の審判により開始するものに限る。以下同じ。)、保佐及び補助に関する登記並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)に規定する任意後見契約の登記(以下「後見登記等」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(登記所)

第二条 後見登記等に関する事務は、法務大臣の指定する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(次条において「指定法務局等」という。)が、登記所としてつかさどる。

2 前項の指定は、告示してしなければならない。

(登記官)

第三条 登記所における事務は、指定法務局等に勤務する法務事務官で、法務局又は地方法務局の長が指定した者が、登記官として取り扱う。

(後見等の登記等)

第四条 後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)の登記は、嘱託又は申請により、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。第九条において同じ。)をもって調製する後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。

 一 後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日

 二 成年被後見人、被保佐人又は被補助人(以下「成年被後見人等」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

 三 成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」と総称する。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)

 四 成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人(以下「成年後見監督人等」と総称する。)が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)

 五 保佐人又は補助人の同意を得ることを要する行為が定められたときは、その行為

 六 保佐人又は補助人に代理権が付与されたときは、その代理権の範囲

 七 数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め

 八 後見等が終了したときは、その事由及び年月日

 九 家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条の三第一項の規定による審判(同条第五項の裁判を含む。以下「保全処分」という。)に関する事項のうち政令で定めるもの

 十 登記番号

2 後見等の開始の審判前の保全処分(政令で定めるものに限る。)の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、政令で定める事項を記録することによって行う。

(任意後見契約の登記)

第五条 任意後見契約の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。

 一 任意後見契約に係る公正証書を作成した公証人の氏名及び所属並びにその証書の番号及び作成の年月日

 二 任意後見契約の委任者(以下「任意後見契約の本人」という。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

 三 任意後見受任者又は任意後見人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)

 四 任意後見受任者又は任意後見人の代理権の範囲

 五 数人の任意後見人が共同して代理権を行使すべきことを定めたときは、その定め

 六 任意後見監督人が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)並びにその選任の審判の確定の年月日

 七 数人の任意後見監督人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め

 八 任意後見契約が終了したときは、その事由及び年月日

 九 保全処分に関する事項のうち政令で定めるもの

 十 登記番号

(後見登記等ファイルの記録の編成)

第六条 後見登記等ファイルの記録は、後見等の登記については後見等の開始の審判ごとに、第四条第二項の登記については政令で定める保全処分ごとに、任意後見契約の登記については任意後見契約ごとに、それぞれ編成する。

(変更の登記)

第七条 後見登記等ファイルの各記録(以下「登記記録」という。)に記録されている次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事項に変更が生じたことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請しなければならない。

 一 第四条第一項第二号から第四号までに掲げる者 同項各号に掲げる事項

 二 第五条第二号、第三号又は第六号に掲げる者 同条各号に掲げる事項

2 成年被後見人等の親族、任意後見契約の本人の親族その他の利害関係人は、前項各号に定める事項に変更を生じたときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請することができる。

(終了の登記)

第八条 後見等に係る登記記録に記録されている前条第一項第一号に掲げる者は、成年被後見人等が死亡したことを知ったときは、終了の登記を申請しなければならない。

2 任意後見契約に係る登記記録に記録されている前条第一項第二号に掲げる者は、任意後見契約の本人の死亡その他の事由により任意後見契約が終了したことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、終了の登記を申請しなければならない。

3 成年被後見人等の親族、任意後見契約の本人の親族その他の利害関係人は、後見等又は任意後見契約が終了したときは、嘱託による登記がされる場合を除き、終了の登記を申請することができる。

(登記記録の閉鎖)

第九条 登記官は、終了の登記をしたときは、登記記録を閉鎖し、これを閉鎖登記記録として、磁気ディスクをもって調製する閉鎖登記ファイルに記録しなければならない。

(登記事項証明書の交付等)

第十条 何人も、登記官に対し、次に掲げる登記記録について、後見登記等ファイルに記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。

 一 自己を成年被後見人等又は任意後見契約の本人とする登記記録

 二 自己を成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人(退任したこれらの者を含む。)とする登記記録

 三 自己の配偶者又は四親等内の親族を成年被後見人等又は任意後見契約の本人とする登記記録

 四 保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの

2 次の各号に掲げる者は、登記官に対し、それぞれ当該各号に定める登記記録について、登記事項証明書の交付を請求することができる。

 一 未成年後見人又は未成年後見監督人 その未成年被後見人を成年被後見人等若しくは任意後見契約の本人とする登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの

 二 成年後見人等又は成年後見監督人等 その成年被後見人等を任意後見契約の本人とする登記記録

 三 登記された任意後見契約の任意後見受任者 その任意後見契約の本人を成年被後見人等とする登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る登記記録で政令で定めるもの

3 何人も、登記官に対し、次に掲げる閉鎖登記記録について、閉鎖登記ファイルに記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下「閉鎖登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。

 一 自己が成年被後見人等又は任意後見契約の本人であった閉鎖登記記録

 二 自己が成年後見人等、成年後見監督人等、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人であった閉鎖登記記録

 三 保全処分に係る閉鎖登記記録で政令で定めるもの

4 相続人その他の承継人は、登記官に対し、被相続人その他の被承継人が成年被後見人等若しくは任意後見契約の本人であった閉鎖登記記録又は第四条第二項に規定する保全処分に係る閉鎖登記記録で政令で定めるものについて、閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる。

5 国又は地方公共団体の職員は、職務上必要とする場合には、登記官に対し、登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求することができる。

(手数料)

第十一条 次に掲げる者は、物価の状況、登記に要する実費、登記事項証明書の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

 一 登記を嘱託する者

 二 登記を申請する者

 三 登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付を請求する者

2 前項の手数料の納付は、登記印紙をもってしなければならない。ただし、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して前項各号の嘱託、申請又は請求をするときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。

(行政手続法の適用除外)

第十二条 登記官の処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。

(行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外)

第十三条 後見登記等ファイル及び閉鎖登記ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。

(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用除外)

第十四条 後見登記等ファイル及び閉鎖登記ファイルに記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章の規定は、適用しない。

(審査請求)

第十五条 登記官の処分を不当とする者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。

2 審査請求をするには、登記官に審査請求書を提出しなければならない。

3 登記官は、審査請求を理由があると認めるときは、相当の処分をしなければならない。

4 登記官は、審査請求を理由がないと認めるときは、三日以内に、意見を付して事件を監督法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。

5 法務局又は地方法務局の長は、審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならない。

(行政不服審査法の適用除外)

第十六条 行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第十四条、第十七条、第二十四条、第二十五条第一項ただし書、第三十四条第二項から第七項まで、第三十七条第六項、第四十条第三項から第六項まで及び第四十三条の規定は、前条第一項の審査請求については、適用しない。

(政令への委任)

第十七条 この法律に定めるもののほか、後見登記等に関し必要な事項は、政令で定める。

民法13条1項に定める行為

 「保佐人」には、不動産を処分したりお金を借りたりするなどの以下の「重要な法律行為」について、後見人同様、不利益な契約を取り消すことができる取消権が与えられます。ただし、自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、「保佐人」の同意は必要なく、取消しの対象にもなりません。

 「補助人」は、以下のなかで、裁判所が認めた事項について契約を取り消す取消権、「被補助人」に代わって契約を行う代理権が与えられます。

  • 貸金の元本の返済を受けること。
  • 金銭を借入れたり、保証人になること。
  • 不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
  • 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
  • 贈与すること、和解・仲裁契約をすること。
  • 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
  • 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
  • 新築・改築・増築や大修繕をすること。
  • 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。

家庭裁判所が定める特定の法律行為

 保佐人と補助人に審判によって与えられる代理権は、本人の生活、療養看護および財産に関する法律行為であれば何でもよく、要介護認定の申請や介護支援契約の締結なども含まれます。参考までに以下に例を記載しておきます。

  • 不動産、動産等すべての財産の保存、管理、変更及び処分に関する事項。
  • 金融機関、証券会社とのすべての取引に関する事項。
  • 保険契約(類似の共済契約等を含む)に関する事項。
  • 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払いに関する事項。
  • 生活費の送金、生活に必要な財産の取得、物品の購入その他日常関連取引に関する事項。
  • 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入所契約に関する事項。
  • 登記済権利証、印鑑、印鑑登録カード、各種カード、預貯金通帳、株券等有価証券、その預り証、重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項処理に必要な範囲内の使用に関する事項。
  • 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項。
  • 以上の各事項に関する行政機関等への申請、行政不服申立て、紛争の処理(弁護に対する民訴法55条2項の特別授権事項を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む)に関する事項。
  • 複代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項。
  • 以上の各事項に関連する一切の事項。

家事審判法

目次

 第一章 総則(第一条-第八条)

 第二章 審判(第九条-第十六条)

 第三章 調停

  第一節 通則(第十七条-第二十六条)

  第二節 家事調停官(第二十六条の二-第二十六条の四)

 第四章 罰則(第二十七条-第三十一条)

 附則

第一章 総則

第一条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図ることを目的とする。

第二条 家庭裁判所において、この法律に定める事項を取り扱う裁判官は、これを家事審判官とする。

第三条 審判は、特別の定がある場合を除いては、家事審判官が、参与員を立ち合わせ、又はその意見を聴いて、これを行う。但し、家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事審判官だけで審判を行うことができる。

2 調停は、家事審判官及び家事調停委員をもつて組織する調停委員会がこれを行う。前項ただし書の規定は、調停にこれを準用する。

3 家庭裁判所は、当事者の申立があるときは、前項後段の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。

第四条 裁判所職員の除斥及び忌避に関する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定で、裁判官に関するものは、家事審判官及び参与員に、裁判所書記官に関するものは、家庭裁判所の裁判所書記官にこれを準用する。

第五条 家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、合議体の構成員に命じて終局審判以外の審判を行わせることができる。

2 前項の規定により合議体の構成員が行うこととされる審判は、判事補が単独ですることができる。

第六条 削除

第七条 特別の定めがある場合を除いて、審判及び調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編の規定を準用する。ただし、同法第十五条の規定は、この限りでない。

第八条 この法律に定めるものの外、審判又は調停に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

第二章 審判

第九条 家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。

甲類

 一 民法(明治二十九年法律第八十九号)第七条及び第十条の規定による後見開始の審判及びその取消し

 二 民法第十一条、第十三条第二項及び第三項、第十四条並びに第八百七十六条の四第一項及び第三項の規定による保佐開始の審判、その取消しその他の保佐に関する処分

 二の二 民法第十五条第一項、第十七条第一項及び第三項、第十八条、第八百七十六条の九第一項並びに同条第二項において準用する同法第八百七十六条の四第三項の規定による補助開始の審判、その取消しその他の補助に関する処分

 二の三 民法第十九条の規定による後見開始、保佐開始又は補助開始の審判の取消し

 三 民法第二十五条から第二十九条までの規定による不在者の財産の管理に関する処分

 四 民法第三十条及び第三十二条第一項の規定による失踪の宣告及びその取消し

 五 民法第七百七十五条の規定による特別代理人の選任

 六 民法第七百九十一条第一項又は第三項の規定による子の氏の変更についての許可

 七 民法第七百九十四条又は第七百九十八条の規定による養子をするについての許可

 七の二 民法第八百十一条第五項の規定による未成年後見人となるべき者の選任

 八 民法第八百十一条第六項の規定による離縁をするについての許可

 八の二 民法第八百十七条の二及び第八百十七条の十の規定による縁組及び離縁に関する処分

 九 民法第八百二十二条又は第八百五十七条(同法第八百六十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による懲戒に関する許可その他の処分

 十 民法第八百二十六条(同法第八百六十条において準用する場合を含む。)の規定による特別代理人の選任

 十一 民法第八百三十条第二項から第四項まで(同法第八百六十九条において準用する場合を含む。)の規定による財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分

 十二 民法第八百三十四条から第八百三十六条までの規定による親権又は管理権の喪失の宣告及びその取消し

 十三 民法第八百三十七条の規定による親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可

 十四 民法第八百四十条、第八百四十三条第一項から第三項まで(同法第八百七十六条の二第二項及び第八百七十六条の七第二項において同法第八百四十三条第二項及び第三項の規定を準用する場合を含む。)、第八百四十九条、第八百四十九条の二、第八百七十六条の二第一項、第八百七十六条の三第一項、第八百七十六条の七第一項又は第八百七十六条の八第一項の規定による後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人の選任

 十五 民法第八百四十四条(同法第八百五十二条、第八百七十六条の二第二項、第八百七十六条の三第二項、第八百七十六条の七第二項及び第八百七十六条の八第二項において準用する場合を含む。)の規定による後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人の辞任についての許可

 十六 民法第八百四十六条(同法第八百五十二条、第八百七十六条の二第二項、第八百七十六条の三第二項、第八百七十六条の七第二項及び第八百七十六条の八第二項において準用する場合を含む。)の規定による後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人の解任

 十七 民法第八百五十三条第一項ただし書(同法第八百五十六条及び第八百六十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による財産の目録の作成の期間の伸長

 十八 民法第八百五十九条の二第一項及び第二項(これらの規定を同法第八百五十二条、第八百七十六条の三第二項、第八百七十六条の五第二項、第八百七十六条の八第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による数人の成年後見人、成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人の権限の行使についての定め及びその取消し

 十九 民法第八百五十九条の三(同法第八百五十二条、第八百七十六条の三第二項、第八百七十六条の五第二項、第八百七十六条の八第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による成年被後見人、被保佐人又は被補助人の居住用不動産の処分についての許可

 二十 民法第八百六十二条(同法第八百五十二条、第八百六十七条第二項、第八百七十六条の三第二項、第八百七十六条の五第二項、第八百七十六条の八第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を合む。)の規定による後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人に対する報酬の付与

 二十一 民法第八百六十三条(同法第八百六十七条第二項、第八百七十六条の五第二項及び第八百七十六条の十第一項において準用する場合を含む。)の規定による後見、保佐又は補助の事務の報告、財産の目録の提出、当該事務又は財産の状況の調査、財産の管理その他の当該事務に関する処分

 二十二 民法第八百七十条ただし書(同法第八百七十六条の五第三項及び第八百七十六条の十第二項において準用する場合を含む。)の規定による管理の計算の期間の伸長

 二十二の二 民法第八百七十六条の二第三項又は第八百七十六条の七第三項の規定による臨時保佐人又は臨時補助人の選任

 二十三 民法第八百九十五条の規定による遺産の管理に関する処分

 二十四 民法第九百十五条第一項ただし書の規定による相続の承認又は放棄の期間の伸長

 二十五 民法第九百十八条第二項及び第三項(これらの規定を同法第九百二十六条第二項、第九百三十六条第三項及び第九百四十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による相続財産の保存又は管理に関する処分

 二十五の二 民法第九百十九条第四項の規定による相続の限定承認又は放棄の取消しの申述の受理

 二十六 民法第九百二十四条の規定による相続の限定承認の申述の受理

 二十七 民法第九百三十条第二項(同法第九百四十七条第三項、第九百五十条第二項及び第九百五十七条第二項において準用する場合を含む。)、第九百三十二条ただし書(同法第九百四十七条第三項及び第九百五十条第二項において準用する場合を含む。)又は第千二十九条第二項の規定による鑑定人の選任

 二十八 民法第九百三十六条第一項の規定による相続財産の管理人の選任

 二十九 民法第九百三十八条の規定による相続の放棄の申述の受理

 三十 民法第九百四十一条第一項又は第九百五十条第一項の規定による相続財産の分離に関する処分

 三十一 民法第九百四十三条(同法第九百五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による相続財産の管理に関する処分

 三十二 民法第九百五十二条及び第九百五十三条又は第九百五十八条の規定による相続財産の管理人の選任その他相続財産の管理に関する処分

 三十二の二 民法第九百五十八条の三第一項の規定による相続財産の処分

 三十三 民法第九百七十六条第四項又は第九百七十九条第三項の規定による遺言の確認

 三十四 民法第千四条第一項の規定による遺言書の検認

 三十五 民法第千十条の規定による遺言執行者の選任

 三十六 民法第千十八条第一項の規定による遺言執行者に対する報酬の付与

 三十七 民法第千十九条の規定による遺言執行者の解任及び遺言執行者の辞任についての許可

 三十八 民法第千二十七条の規定による遺言の取消し

 三十九 民法第千四十三条第一項の規定による遺留分の放棄についての許可

乙類

 一 民法第七百五十二条の規定による夫婦の同居その他の夫婦間の協力扶助に関する処分

 二 民法第七百五十八条第二項及び第三項の規定による財産の管理者の変更及び共有財産の分割に関する処分

 三 民法七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担に関する処分

 四 民法第七百六十六条第一項又は第二項(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他子の監護に関する処分

 五 民法第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する処分

 六 民法第七百六十九条第二項(同法第七百四十九条、第七百五十一条第二項、第七百七十一条、第八百八条第二項及び第八百十七条において準用する場合を含む。)又は第八百九十七条第二項の規定による同条第一項の権利の承継者の指定

 六の二 民法第八百十一条第四項の規定による親権者となるべき者の指定

 七 民法第八百十九条第五項又は第六項(これらの規定を同法第七百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更

 八 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養に関する処分

 九 民法第八百九十二条から第八百九十四条までの規定による推定相続人の廃除及びその取消し

 九の二 民法第九百四条の二第二項の規定による寄与分を定める処分

 十 民法第九百七条第二項及び第三項の規定による遺産の分割に関する処分

2 家庭裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に家庭裁判所の権限に属させた事項についても、審判を行う権限を有する。

第十条 参与員の員数は、各事件について1人以上とする。

2 参与員は、家庭裁判所が毎年前もつて選任する者の中から、家庭裁判所が各事件についてこれを指定する。

3 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

第十条の二 参与員には、最高裁判所の定める旅費、日当及び宿泊料を支給する。

第十一条 家庭裁判所は、何時でも、職権で第九条第一項乙類に規定する審判事件を調停に付することができる。

第十二条 家庭裁判所は、相当と認めるときは、審判の結果について利害関係を有する者を審判手続に参加させることができる。

第十三条 審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。但し、即時抗告をすることのできる審判は、確定しなければその効力を生じない。

第十四条 審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができる。その期間は、これを二週間とする。

第十五条 金銭の支払、物の引渡、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力ある債務名義と同一の効力を有する。

第十五条の二 第九条第一項甲類に掲げる事項についての審判(戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所の定めるものに限る。以下この条において同じ。)が効力を生じた場合又は次条第一項の規定による審判(同条第五項の裁判を含む。)が効力を生じ、若しくは効力を失つた場合には、裁判所書記官は、最高裁判所の定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律に定める登記を嘱託しなければならない。

第十五条の三 第九条の審判の申立てがあつた場合においては、家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずることができる。

2 前項の規定による審判(以下「審判前の保全処分」という。)が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

3 前二項の規定による審判は、疎明に基づいてする。

4 前項の審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。

5 第九条に規定する審判事件が高等裁判所に係属する場合には、当該高等裁判所が、第三項の審判に代わる裁判を行う。

6 審判前の保全処分(前項の裁判を含む。次項において同じ。)の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。

7 民事保全法第四条、第十四条、第十五条及び第二十条から第二十四条までの規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条及び第三十四条の規定は審判前の保全処分を取り消す審判について準用する。

第十五条の四 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対して、遺産の全部又は一部について競売し、その他最高裁判所の定めるところにより換価することを命ずることができる。

2 前条第二項の規定は、前項の規定による審判について準用する。

3 前二項の規定は、民法第九百五十八条の三第一項の規定による相続財産の処分の審判について準用する。この場合において、第一項中「相続人」とあるのは、「相続財産の管理人」と読み替えるものとする。

第十五条の五 家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対して、その義務の履行を勧告することができる。

第十五条の六 家庭裁判所は、審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠つた者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立により、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をなすべきことを命ずることができる。

第十五条の七 家庭裁判所は、審判で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行について、義務者の申出があるときは、最高裁判所の定めるところにより、権利者のために金銭の寄託を受けることができる。

第十六条 民法第六百四十四条、第六百四十六条、第六百四十七条及び第六百五十条の規定は、家庭裁判所が選任した財産の管理をする者について、同法第二十七条から第二十九条までの規定は、第十五条の三第一項の規定による財産の管理者について準用する。

第三章 調停

第一節 通則

第十七条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第九条第一項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。

第十八条 前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。

2 前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。

第十九条 第十七条の規定により調停を行うことができる事件に係る訴訟が係属している場合には、裁判所は、何時でも、職権でその事件を家庭裁判所の調停に付することができる。

2 前項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し又は第二十三条若しくは第二十四条第一項の規定による審判が確定したときは、訴の取下があつたものとみなす。

第二十条 第十二条の規定は、調停手続にこれを準用する。

第二十一条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。但し、第九条第一項乙類に掲げる事項については、確定した審判と同一の効力を有する。

2 前項の規定は、第二十三条に掲げる事件については、これを適用しない。

第二十一条の二 遺産の分割に関する事件の調停において、遠隔の地に居住する等の理由により出頭することが困難であると認められる当事者が、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。

第二十二条 調停委員会の組織は、家事審判官一人及び家事調停委員二人以上とする。

2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。

第二十二条の二 家事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、家庭裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、又は嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行う。

2 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。

第二十二条の三 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。

第二十三条 婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し、当該合意に相当する審判をすることができる。

2 前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消し、認知、認知の無効若しくは取消、民法第七百七十三条の規定により父を定めること、嫡出否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停について準用する。

第二十四条 家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離緑その他必要な審判をすることができる。この審判においては、金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。

2 前項の規定は、第九条第一項乙類に規定する審判事件の調停については、これを適用しない。

第二十五条 第二十三条又は前条第一項の規定による審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、家庭裁判所に対し異議の申立をすることかできる。その期間は、これを二週間とする。

2 前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の審判は、その効力を失う。

3 第一項の期間内に異議の申立がないときは、同項の審判は、確定判決と同一の効力を有する。

第二十五条の二 家庭裁判所は、調停又は第二十四条第一項の規定による審判で定められた義務の履行について、第十五条の五から第十五条の七までの規定の例により、これらの規定に掲げる措置をすることができる。

第二十六条 第九条第一項乙類に規定する審判事件について調停が成立しない場合には、調停の申立の時に、審判の申立があつたものとみなす。

2 第十七条の規定により調停を行うことができる事件について調停が成立せず、且つ、その事件について第二十三条若しくは第二十四条第一項の規定による審判をせず、又は第二十五条第二項の規定により審判が効力を失つた場合において、当事者がその旨の通知を受けた日から二週間以内に訴を提起したときは、調停の申立の時に、その訴の提起があつたものとみなす。

第二節 家事調停官

第二十六条の二 家事調停官は、弁護士で五年以上その職に在つたもののうちから、最高裁判所が任命する。

2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、調停事件の処理に必要な職務を行う。

3 家事調停官は、任期を二年とし、再任されることができる。

4 家事調停官は、非常勤とする。

5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。

 一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七条各号のいずれかに該当するに至つたとき。

 二 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。

 三 職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。

6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第二十六条の三 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、調停事件を取り扱う。

2 家事調停官は、その取り扱う調停事件の処理について、この法律の規定(第七条において準用する非訟事件手続法の規定を含む。)において家事審判官が行うものとして規定されている調停に関する権限のほか、次に掲げる権限を行うことができる。

 一 第三条第二項後段において準用する同条第一項ただし書、第二十条において準用する第十二条、第二十一条の二、第二十二条第二項、第二十二条の二第一項、第二十三条、第二十四条第一項、第二十七条及び第二十八条第二項の規定において家庭裁判所が行うものとして規定されている調停に関する権限

 二 第七条において準用する非訟事件手続法の規定において家庭裁判所が行うものとして規定されている権限であつて調停に関するもの

3 家事調停官は、独立してその職権を行う。

4 裁判所職員の除斥及び忌避に関する民事訴訟法の規定で裁判官に関するものは、家事調停官について準用する。

5 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師たる裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。この場合において、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十条第五項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。

第二十六条の四 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。

第四章 罰則

第二十七条 家庭裁判所又は調停委員会の呼出を受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、家庭裁判所は、これを五万円以下の過料に処する。

第二十八条 第十五条の六又は第二十五条の二の規定により義務の履行を命ぜられた当事者又は参加人が正当な事由がなくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、これを十万円以下の過料に処する。

2 調停委員会又は家庭裁判所により調停前の措置として必要な事項を命ぜられた当事者又は参加人が正当な事由がなくその措置に従わないときも、前項と同様である。

第二十九条 前二条の過料の審判は、家事審判官の命令でこれを執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

2 過料の審判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてこれをする。ただし、執行前に審判の送達をすることを要しない。

3 前二項に規定するもののほか、過料についての審判に関しては、非訟事件手続法第五編の規定を準用する。ただし、同法第百六十二条及び第百六十四条中検察官に関する規定は、この限りでない。

第三十条 家事調停委員又は家事調停委員であつた者が正当な事由がなく評議の経過又は家事審判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。

2 参与員又は参与員であつた者が正当な事由がなく家事審判官又は参与員の意見を漏らしたときも、前項と同様である。

第三十一条 参与員、家事調停委員又はこれらの職に在つた者が正当な事由がなくその職務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

老人福祉法

目次

 第一章 総則(第一条―第十条の二)

 第二章 福祉の措置(第十条の三―第十三条の二)

 第三章 事業及び施設(第十四条―第二十条の七の二)

 第三章の二 老人福祉計画(第二十条の八―第二十条の十一)

 第四章 費用(第二十一条―第二十八条)

 第四章の二 指定法人(第二十八条の二―第二十八条の十四)

 第四章の三 有料老人ホーム(第二十九条―第三十一条の四)

 第五章 雑則(第三十二条―第三十七条)

 第六章 罰則(第三十八条―第四十三条)

 附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。

(基本的理念)

第二条 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。

第三条 老人は、老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする。

2 老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。

(老人福祉増進の責務)

第四条 国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する。

2 国及び地方公共団体は、老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない。

3 老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は、その事業の運営に当たつては、老人の福祉が増進されるように努めなければならない。

第五条 国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日及び老人週間を設ける。

2 老人の日は九月十五日とし、老人週間は同日から同月二十一日までとする。

3 国は、老人の日においてその趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとし、国及び地方公共団体は、老人週間において老人の団体その他の者によつてその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう奨励しなければならない。

(定義)

第五条の二 この法律において、「老人居宅生活支援事業」とは、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業及び認知症対応型老人共同生活援助事業をいう。

2 この法律において、「老人居宅介護等事業」とは、第十条の四第一項第一号の措置に係る者又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による訪問介護に係る居宅介護サービス費、夜間対応型訪問介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防訪問介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき、これらの者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるものを供与する事業をいう。

3 この法律において、「老人デイサービス事業」とは、第十条の四第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による通所介護に係る居宅介護サービス費、認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護サービス費、介護予防通所介護に係る介護予防サービス費若しくは介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を特別養護老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、これらの者につき入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、介護方法の指導その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業をいう。

4 この法律において、「老人短期入所事業」とは、第十条の四第一項第三号の措置に係る者又は介護保険法の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を特別養護老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設に短期間入所させ、養護する事業をいう。

5 この法律において、「小規模多機能型居宅介護事業」とは、第十条の四第一項第四号の措置に係る者又は介護保険法の規定による小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき、これらの者の心身の状況、置かれている環境等に応じて、それらの者の選択に基づき、それらの者の居宅において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を供与する事業をいう。

6 この法律において、「認知症対応型老人共同生活援助事業」とは、第十条の四第一項第五号の措置に係る者又は介護保険法の規定による認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき、これらの者が共同生活を営むべき住居において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の援助を行う事業をいう。

第五条の三 この法律において、「老人福祉施設」とは、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターをいう。

(福祉の措置の実施者)

第五条の四 六十五歳以上の者(六十五歳未満の者であつて特に必要があると認められるものを含む。以下同じ。)又はその者を現に養護する者(以下「養護者」という。)に対する第十条の四及び第十一条の規定による福祉の措置は、その六十五歳以上の者が居住地を有するときは、その居住地の市町村が、居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでないときは、その現在地の市町村が行うものとする。ただし、同条第一項第一号若しくは第二号又は生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により入所している六十五歳以上の者については、その六十五歳以上の者が入所前に居住地を有した者であるときは、その居住地の市町村が、その六十五歳以上の者が入所前に居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでなかつた者であるときは、入所前におけるその六十五歳以上の者の所在地の市町村が行うものとする。

2 市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

一 老人の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。

二 老人の福祉に関し、必要な情報の提供を行い、並びに相談に応じ、必要な調査及び指導を行い、並びにこれらに付随する業務を行うこと。

(市町村の福祉事務所)

第五条の五 市町村の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)は、この法律の施行に関し、主として前条第二項各号に掲げる業務を行うものとする。

(市町村の福祉事務所の社会福祉主事)

第六条 市及び福祉事務所を設置する町村は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の指揮監督を受けて、主として次に掲げる業務を行う所員として、社会福祉主事を置かなければならない。

一 福祉事務所の所員に対し、老人の福祉に関する技術的指導を行うこと。

二 第五条の四第二項第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とする業務を行うこと。

(連絡調整等の実施者)

第六条の二 都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

一 この法律に基づく福祉の措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。

二 老人の福祉に関し、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。

2 都道府県知事は、この法律に基づく福祉の措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。

3 都道府県知事は、この法律の規定による都道府県の事務の全部又は一部を、その管理する福祉事務所長に委任することができる。

(都道府県の福祉事務所の社会福祉主事)

第七条 都道府県は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所長の指揮監督を受けて、主として前条第一項第一号に掲げる業務のうち専門的技術を必要とするものを行う所員として、社会福祉主事を置くことができる。

(保健所の協力)

第八条 保健所は、老人の福祉に関し、老人福祉施設等に対し、栄養の改善その他衛生に関する事項について必要な協力を行うものとする。

(民生委員の協力)

第九条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

(健康保持及び介護等に関する措置)

第十条 老人の心身の健康の保持に関する措置については、この法律に定めるもののほか、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)の定めるところによる。

2 身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある老人の介護等に関する措置については、この法律に定めるもののほか、介護保険法の定めるところによる。

(連携及び調整)

第十条の二 この法律に基づく福祉の措置の実施に当たつては、前条第一項に規定する老人保健法 に基づく措置及び同条第二項に規定する介護保険法に基づく措置との連携及び調整に努めなければならない。

第二章 福祉の措置

(支援体制の整備等)

第十条の三 市町村は、六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、心身の状況、その置かれている環境等に応じて、自立した日常生活を営むために最も適切な支援が総合的に受けられるように、次条及び第十一条の措置その他地域の実情に応じたきめ細かな措置の積極的な実施に努めるとともに、これらの措置、介護保険法に規定する居宅サービス、地域密着型サービス、居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス及び介護予防支援並びに老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者の活動の連携及び調整を図る等地域の実情に応じた体制の整備に努めなければならない。

2 市町村は、前項の体制の整備に当たつては、六十五歳以上の者が身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障が生じた場合においても、引き続き居宅において日常生活を営むことができるよう配慮しなければならない。

(居宅における介護等)

第十条の四 市町村は、必要に応じて、次の措置を採ることができる。

一 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する訪問介護、夜間対応型訪問介護又は介護予防訪問介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、その者の居宅において第五条の二第二項の厚生労働省令で定める便宜を供与し、又は当該市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託すること。

二 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する通所介護、認知症対応型通所介護、介護予防通所介護又は介護予防認知症対応型通所介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者(養護者を含む。)を、政令で定める基準に従い、当該市町村の設置する老人デイサービスセンター若しくは第五条の二第三項の厚生労働省令で定める施設(以下「老人デイサービスセンター等」という。)に通わせ、同項の厚生労働省令で定める便宜を供与し、又は当該市町村以外の者の設置する老人デイサービスセンター等に通わせ、当該便宜を供与することを委託すること。

三 六十五歳以上の者であつて、養護者の疾病その他の理由により、居宅において介護を受けることが一時的に困難となつたものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する短期入所生活介護又は介護予防短期入所生活介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者を、政令で定める基準に従い、当該市町村の設置する老人短期入所施設若しくは第五条の二第四項の厚生労働省令で定める施設(以下「老人短期入所施設等」という。)に短期間入所させ、養護を行い、又は当該市町村以外の者の設置する老人短期入所施設等に短期間入所させ、養護することを委託すること。

四 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する小規模多機能型居宅介護又は介護予防小規模多機能型居宅介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、その者の居宅において、又は第五条の二第五項の厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、同項の厚生労働省令で定める便宜及び機能訓練を供与し、又は当該市町村以外の者に当該便宜及び機能訓練を供与することを委託すること。

五 六十五歳以上の者であつて、認知症(介護保険法第八条第十六項に規定する認知症をいう。以下同じ。)であるために日常生活を営むのに支障があるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)が、やむを得ない事由により同法 に規定する認知症対応型共同生活介護又は介護予防認知症対応型共同生活介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、第五条の二第六項に規定する住居において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の援助を行い、又は当該市町村以外の者に当該住居において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の援助を行うことを委託すること。

2 市町村は、六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものにつき、前項各号の措置を採るほか、その福祉を図るため、必要に応じて、日常生活上の便宜を図るための用具であつて厚生労働大臣が定めるものを給付し、若しくは貸与し、又は当該市町村以外の者にこれを給付し、若しくは貸与することを委託する措置を採ることができる。

(老人ホームへの入所等)

第十一条 市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。

一 六十五歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。)により居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する養護老人ホームに入所を委託すること。

二 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるときは、その者を当該市町村の設置する特別養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する特別養護老人ホームに入所を委託すること。

三 六十五歳以上の者であつて、養護者がないか、又は養護者があつてもこれに養護させることが不適当であると認められるものの養護を養護受託者(老人を自己の下に預つて養護することを希望する者であつて、市町村長が適当と認めるものをいう。以下同じ。)のうち政令で定めるものに委託すること。

2 市町村は、前項の規定により養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームに入所させ、若しくは入所を委託し、又はその養護を養護受託者に委託した者が死亡した場合において、その葬祭(葬祭のために必要な処理を含む。以下同じ。)を行う者がないときは、その葬祭を行い、又はその者を入所させ、若しくは養護していた養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは養護受託者にその葬祭を行うことを委託する措置を採ることができる。

(措置の解除に係る説明等)

第十二条 市町村長は、第十条の四又は前条第一項の措置を解除しようとするときは、あらかじめ、当該措置に係る者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。ただし、当該措置に係る者から当該措置の解除の申出があつた場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。

(行政手続法 の適用除外)

第十二条の二 第十条の四又は第十一条第一項の措置を解除する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

(老人福祉の増進のための事業)

第十三条 地方公共団体は、老人の心身の健康の保持に資するための教養講座、レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加することができる事業(以下「老人健康保持事業」という。)を実施するように努めなければならない。

2 地方公共団体は、老人の福祉を増進することを目的とする事業の振興を図るとともに、老人クラブその他当該事業を行う者に対して、適当な援助をするように努めなければならない。

(研究開発の推進)

第十三条の二 国は、老人の心身の特性に応じた介護方法の研究開発並びに老人の日常生活上の便宜を図るための用具及び機能訓練のための用具であつて身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある者に使用させることを目的とするものの研究開発の推進に努めなければならない。

   第三章 事業及び施設

第三章 事業及び施設

(老人居宅生活支援事業の開始)

第十四条 国及び都道府県以外の者は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、老人居宅生活支援事業を行うことができる。

(変更)

第十四条の二 前条の規定による届出をした者は、厚生労働省令で定める事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

(廃止又は休止)

第十四条の三 国及び都道府県以外の者は、老人居宅生活支援事業を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

(前払金の保全措置)

第十四条の四 認知症対応型老人共同生活援助事業を行う者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。

(施設の設置)

第十五条 都道府県は、老人福祉施設を設置することができる。

2 国及び都道府県以外の者は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設又は老人介護支援センターを設置することができる。

3 市町村及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。第十六条第二項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。

4 社会福祉法人は、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。

5 国及び都道府県以外の者は、社会福祉法 の定めるところにより、軽費老人ホーム又は老人福祉センターを設置することができる。

6 都道府県知事は、第四項の認可の申請があつた場合において、当該申請に係る養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの所在地を含む区域(介護保険法第百十八条第二項第一号の規定により当該都道府県が定める区域とする。)における養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの入所定員の総数が、第二十条の九第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定めるその区域の養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの必要入所定員総数に既に達しているか、又は当該申請に係る養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの設置によつてこれを超えることになると認めるとき、その他の当該都道府県老人福祉計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、第四項の認可をしないことができる。

(変更)

第十五条の二 前条第二項の規定による届出をした者は、厚生労働省令で定める事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 前条第三項の規定による届出をし、又は同条第四項の規定による認可を受けた者は、厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

(廃止、休止若しくは入所定員の減少又は入所定員の増加)

第十六条 国及び都道府県以外の者は、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設又は老人介護支援センターを廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

2 市町村及び地方独立行政法人は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを廃止し、休止し、若しくはその入所定員を減少し、又はその入所定員を増加しようとするときは、その廃止、休止若しくは入所定員の減少又は入所定員の増加の日の一月前までに、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3 社会福祉法人は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを廃止し、休止し、若しくはその入所定員を減少し、又はその入所定員を増加しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、その廃止、休止若しくは入所定員の減少の時期又は入所定員の増加について、都道府県知事の認可を受けなければならない。

4 第十五条第六項の規定は、前項の規定により社会福祉法人が養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの入所定員の増加の認可の申請をした場合について準用する。

(施設の基準)

第十七条 厚生労働大臣は、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営について、基準を定めなければならない。

2 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、前項の基準を遵守しなければならない。

(報告の徴収等)

第十八条 都道府県知事は、老人の福祉のために必要があると認めるときは、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターの設置者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 都道府県知事は、前条第一項の基準を維持するため、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの長に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

3 前二項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(改善命令等)

第十八条の二 都道府県知事は、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う者が第十四条の四の規定に違反したと認めるときは、当該者に対して、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

2 都道府県知事は、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターの設置者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第五条の二第二項から第六項まで、第二十条の二の二若しくは第二十条の三に規定する者の処遇につき不当な行為をしたときは、当該事業を行う者又は当該施設の設置者に対して、その事業の制限又は停止を命ずることができる。

3 都道府県知事は、前項の規定により、老人居宅生活支援事業又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターにつき、その事業の制限又は停止を命ずる場合(第一項の命令に違反したことに基づいて認知症対応型老人共同生活援助事業の制限又は停止を命ずる場合を除く。)には、あらかじめ、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聴かなければならない。

第十九条 都道府県知事は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの設置者がこの法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又は当該施設が第十七条第一項の基準に適合しなくなつたときは、その設置者に対して、その施設の設備若しくは運営の改善若しくはその事業の停止若しくは廃止を命じ、又は第十五条第四項の規定による認可を取り消すことができる。

2 都道府県知事は、前項の規定により、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームにつき、その事業の廃止を命じ、又は設置の認可を取り消す場合には、あらかじめ、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聞かなければならない。

(措置の受託義務)

第二十条 老人居宅生活支援事業を行う者並びに老人デイサービスセンター及び老人短期入所施設の設置者は、第十条の四第一項の規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

2 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、第十一条の規定による入所の委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

(処遇の質の評価等)

第二十条の二 老人居宅生活支援事業を行う者及び老人福祉施設の設置者は、自らその行う処遇の質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に処遇を受ける者の立場に立つてこれを行うように努めなければならない。

(老人デイサービスセンター)

第二十条の二の二 老人デイサービスセンターは、第十条の四第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による通所介護に係る居宅介護サービス費、認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護サービス費、介護予防通所介護に係る介護予防サービス費若しくは介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を通わせ、第五条の二第三項の厚生労働省令で定める便宜を供与することを目的とする施設とする。

(老人短期入所施設)

第二十条の三 老人短期入所施設は、第十条の四第一項第三号の措置に係る者又は介護保険法の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を短期間入所させ、養護することを目的とする施設とする。

(養護老人ホーム)

第二十条の四 養護老人ホームは、第十一条第一項第一号の措置に係る者を入所させ、養護するとともに、その者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

(特別養護老人ホーム)

第二十条の五 特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。

(軽費老人ホーム)

第二十条の六 軽費老人ホームは、無料又は低額な料金で、老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設(第二十条の二の二から前条までに定める施設を除く。)とする。

(老人福祉センター)

第二十条の七 老人福祉センターは、無料又は低額な料金で、老人に関する各種の相談に応ずるとともに、老人に対して、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与することを目的とする施設とする。

(老人介護支援センター)

第二十条の七の二 老人介護支援センターは、地域の老人の福祉に関する各般の問題につき、老人、その者を現に養護する者、地域住民その他の者からの相談に応じ、必要な助言を行うとともに、主として居宅において介護を受ける老人又はその者を現に養護する者と市町村、老人居宅生活支援事業を行う者、老人福祉施設、医療施設、老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者等との連絡調整その他の厚生労働省令で定める援助を総合的に行うことを目的とする施設とする。

2 老人介護支援センターの設置者(設置者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員又はこれらの職にあつた者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

第三章の二 老人福祉計画

(市町村老人福祉計画)

第二十条の八 市町村は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第四項の基本構想に即して、老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業(以下「老人福祉事業」という。)の供給体制の確保に関する計画(以下「市町村老人福祉計画」という。)を定めるものとする。

2 市町村老人福祉計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標

二 前号の老人福祉事業の量の確保のための方策

三 その他老人福祉事業の供給体制の確保に関し必要な事項

3 市町村は、前項第一号の目標(老人居宅生活支援事業、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設及び特別養護老人ホームに係るものに限る。)を定めるに当たつては、介護保険法第百十七条第二項第一号に規定する介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み(同法 に規定する訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護及び介護福祉施設サービス並びに介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防短期入所生活介護、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護に係るものに限る。)を勘案しなければならない。

4 厚生労働大臣は、市町村が第二項第一号の目標(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターに係るものに限る。)を定めるに当たつて参酌すべき標準を定めるものとする。

5 市町村老人福祉計画は、当該市町村の区域における身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある老人の人数、その障害の状況、その養護の実態その他の事情を勘案して作成されなければならない。

6 市町村老人福祉計画は、老人保健法第四十六条の十八第一項に規定する市町村老人保健計画及び介護保険法第百十七条第一項に規定する市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成されなければならない。

7 市町村老人福祉計画は、社会福祉法第百七条に規定する市町村地域福祉計画その他の法律の規定による計画であつて老人の福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。

8 市町村は、市町村老人福祉計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県の意見を聴かなければならない。

9 市町村は、市町村老人福祉計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを都道府県知事に提出しなければならない。

(都道府県老人福祉計画)

第二十条の九 都道府県は、市町村老人福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、老人福祉事業の供給体制の確保に関する計画(以下「都道府県老人福祉計画」という。)を定めるものとする。

2 都道府県老人福祉計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 介護保険法第百十八条第二項第一号の規定により当該都道府県が定める区域ごとの当該区域における養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標

二 老人福祉施設の整備及び老人福祉施設相互間の連携のために講ずる措置に関する事項

三 老人福祉事業に従事する者の確保又は資質の向上のために講ずる措置に関する事項

四 その他老人福祉事業の供給体制の確保に関し必要な事項

3 都道府県は、前項第一号の特別養護老人ホームの必要入所定員総数を定めるに当たつては、介護保険法第百十八条第二項第一号に規定する地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数及び介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数(同法 に規定する介護老人福祉施設に係るものに限る。)を勘案しなければならない。

4 都道府県老人福祉計画は、老人保健法第四十六条の十九第一項に規定する都道府県老人保健計画及び介護保険法第百十八条第一項に規定する都道府県介護保険事業支援計画と一体のものとして作成されなければならない。

5 都道府県老人福祉計画は、社会福祉法第百八条に規定する都道府県地域福祉支援計画その他の法律の規定による計画であつて老人の福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。

6 都道府県は、都道府県老人福祉計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。

(都道府県知事の助言等)

第二十条の十 都道府県知事は、市町村に対し、市町村老人福祉計画の作成上の技術的事項について必要な助言をすることができる。

2 厚生労働大臣は、都道府県に対し、都道府県老人福祉計画の作成の手法その他都道府県老人福祉計画の作成上重要な技術的事項について必要な助言をすることができる。

(援助)

第二十条の十一 国及び地方公共団体は、市町村老人福祉計画又は都道府県老人福祉計画の達成に資する事業を行う者に対し、当該事業の円滑な実施のために必要な援助を与えるように努めなければならない。

第四章 費用

(費用の支弁)

第二十一条 次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。

一 第十条の四第一項第一号から第四号までの規定により市町村が行う措置に要する費用

一の二 第十条の四第一項第五号の規定により市町村が行う措置に要する費用

二 第十一条第一項第一号及び第三号並びに同条第二項の規定により市町村が行う措置に要する費用

三 第十一条第一項第二号の規定により市町村が行う措置に要する費用

(介護保険法による給付との調整)

第二十一条の二 第十条の四第一項各号又は第十一条第一項第二号の措置に係る者が、介護保険法の規定により当該措置に相当する居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスに係る保険給付を受けることができる者であるときは、市町村は、その限度において、前条第一号、第一号の二又は第三号の規定による費用の支弁をすることを要しない。

第二十二条 削除

第二十三条 削除

(都道府県の補助)

第二十四条 都道府県は、政令の定めるところにより、市町村が第二十一条第一号の規定により支弁する費用については、その四分の一以内(居住地を有しないか、又は明らかでない第五条の四第一項に規定する六十五歳以上の者についての措置に要する費用については、その二分の一以内)を補助することができる。

2 都道府県は、前項に規定するもののほか、市町村又は社会福祉法人に対し、老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。

(準用規定)

第二十五条 社会福祉法第五十八条第二項から第四項までの規定は、前条の規定により補助金の交付を受け、又は国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第五号の規定若しくは同法第三条第一項第四号及び同条第二項の規定により普通財産の譲渡若しくは貸付けを受けた社会福祉法人に準用する。

(国の補助)

第二十六条 国は、政令の定めるところにより、市町村が第二十一条第一号の規定により支弁する費用については、その二分の一以内を補助することができる。

2 国は、前項に規定するもののほか、都道府県又は市町村に対し、この法律に定める老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。

(遺留金品の処分)

第二十七条 市町村は、第十一条第二項の規定により葬祭の措置を採る場合においては、その死者の遺留の金銭及び有価証券を当該措置に要する費用に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。

2 市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。

(費用の徴収)

第二十八条 第十条の四第一項及び第十一条の規定による措置に要する費用については、これを支弁した市町村の長は、当該措置に係る者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)から、その負担能力に応じて、当該措置に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の市町村に嘱託することができる。

第四章の二 指定法人

(指定法人)

第二十八条の二 厚生労働大臣は、老人健康保持事業を実施する者の活動を促進すること等により老人の心身の健康の保持を図ることを目的として設立された民法第三十四条の規定による法人であつて、次条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。

一 職員、業務の方法その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる知識及び能力並びに経理的基礎を有すると認められること。

二 前号に定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、老人健康保持事業の促進その他老人の心身の健康の保持に資すると認められること。

2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。

3 指定法人は、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

(業務)

第二十八条の三 指定法人は、次に掲げる業務を行うものとする。

一 老人健康保持事業に関する啓発普及を行うこと。

二 老人健康保持事業を実施すること。

三 老人健康保持事業を実施する者に対して、援助を行うこと。

四 老人健康保持事業に関する調査研究を行い、及び老人健康保持事業に従事する者の研修を行うこと。

五 次条第一項に規定する業務を行うこと。

六 前各号に掲げるもののほか、老人健康保持事業の促進を図るために必要な業務を行うこと。

(指定法人による助成業務の実施)

第二十八条の四 独立行政法人福祉医療機構は、第二十八条の二第一項の規定による指定がされたときは、独立行政法人福祉医療機構法(平成十四年法律第百六十六号)第十二条第一項第七号の規定による助成の業務のうち、老人健康保持事業の振興上必要と認められる事業を行う者に係るもの(以下「助成業務」という。)の全部又は一部を指定法人に行わせるものとする。

2 前項の規定により指定法人が行う助成業務に係る助成に関する基準は、厚生労働省令で定める。

3 厚生労働大臣は、前項の厚生労働省令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

(業務規程の認可)

第二十八条の五 指定法人は、助成業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 厚生労働大臣は、前項の認可をした業務規程が助成業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

3 業務規程に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。

(事業計画等)

第二十八条の六 指定法人は、毎事業年度、厚生労働省令の定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 指定法人は、厚生労働省令の定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

(区分経理)

第二十八条の七 指定法人は、助成業務を行う場合には、助成業務に係る経理とその他の経理とを区分して整理しなければならない。

(交付金)

第二十八条の八 独立行政法人福祉医療機構は、予算の範囲内において、指定法人に対して、助成業務に必要な資金に充てるため、独立行政法人福祉医療機構法第二十三条第一項の基金の運用によつて得られた収益の一部を、交付金として交付することができる。

(厚生労働省令への委任)

第二十八条の九 この章に定めるもののほか、指定法人が助成業務を行う場合における指定法人の財務及び会計に関し、必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(解任命令)

第二十八条の十 厚生労働大臣は、指定法人の役員が、この章の規定若しくは当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき、第二十八条の五第一項の認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき、又は第二十八条の三に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定法人に対して、その役員を解任すべきことを命ずることができる。

(役員及び職員の公務員たる地位)

第二十八条の十一 助成業務に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(報告及び検査)

第二十八条の十二 厚生労働大臣は、第二十八条の三に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、指定法人に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 第十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による質問又は立入検査について準用する。この場合において、これらの規定中「前二項」とあるのは「前項」と、「第一項及び第二項」とあるのは「第一項」と読み替えるものとする。

(監督命令)

第二十八条の十三 厚生労働大臣は、この章の規定を施行するため必要な限度において、指定法人に対して、第二十八条の三に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(指定の取消し等)

第二十八条の十四 厚生労働大臣は、指定法人が次の各号のいずれかに該当するときは、第二十八条の二第一項の規定による指定を取り消し、又は期間を定めて第二十八条の三に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第二十八条の三に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。

二 指定に関し不正な行為があつたとき。

三 この章の規定又は当該規定による命令若しくは処分に違反したとき。

四 第二十八条の五第一項の認可を受けた業務規程によらないで助成業務を行つたとき。

2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は第二十八条の三に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。

第四章の三 有料老人ホーム

(届出等)

第二十九条 有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。

一 施設の名称及び設置予定地

二 設置しようとする者の氏名及び住所又は名称及び所在地

三 条例、定款その他の基本約款

四 事業開始の予定年月日

五 施設の管理者の氏名及び住所

六 施設において供与される介護等の内容

七 その他厚生労働省令で定める事項

2 前項の規定による届出をした者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を休止し、又は廃止したときも、同様とする。

3 有料老人ホームの設置者は、当該有料老人ホームの事業について、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を作成し、これを保存しなければならない。

4 有料老人ホームの設置者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該有料老人ホームに入居する者又は入居しようとする者に対して、当該有料老人ホームにおいて供与する介護等の内容その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報を開示しなければならない。

5 有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。

6 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、有料老人ホームの設置者若しくは管理者若しくは設置者から介護等の供与を委託された者(以下「介護等受託者」という。)に対して、その運営の状況に関する事項その他必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは当該有料老人ホーム若しくは当該介護等受託者の事務所若しくは事業所に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

7 第十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による質問又は立入検査について準用する。

8 都道府県知事は、有料老人ホームの設置者が第三項から第五項までの規定に違反したと認めるとき、当該有料老人ホームに入居している者(以下「入居者」という。)の処遇に関し不当な行為をし、又はその運営に関し入居者の利益を害する行為をしたと認めるとき、その他入居者の保護のため必要があると認めるときは、当該設置者に対して、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

9 都道府県知事は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公示しなければならない。

(有料老人ホーム協会)

第三十条 有料老人ホームの設置者は、有料老人ホームの入居者の保護を図るとともに、有料老人ホームの健全な発展に資することを目的として、有料老人ホームの設置者を会員とし、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いる民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。

2 前項に規定する法人(以下この章において「協会」という。)は、会員の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(名称の使用制限)

第三十一条 協会でない者は、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いてはならない。

2 協会に加入していない者は、その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いてはならない。

(協会の業務)

第三十一条の二 協会は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。

一 有料老人ホームを運営するに当たり、この法律その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導、勧告その他の業務

二 会員の設置する有料老人ホームの運営に関し、契約内容の適正化その他入居者の保護を図り、及び入居者の立場に立つた処遇を行うため必要な指導、勧告その他の業務

三 会員の設置する有料老人ホームの設備及び運営に対する入居者等からの苦情の解決

四 有料老人ホームの職員の資質の向上のための研修

五 有料老人ホームに関する広報その他協会の目的を達成するため必要な業務

2 協会は、その会員の設置する有料老人ホームの入居者等から当該有料老人ホームの設備及び運営に関する苦情について解決の申出があつた場合において必要があると認めるときは、当該会員に対して、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。

3 会員は、協会から前項の規定による求めがあつたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

(厚生労働大臣に対する協力)

第三十一条の三 厚生労働大臣は、この章の規定の円滑な実施を図るため、厚生労働省令の定めるところにより、当該規定に基づく届出、報告その他必要な事項について、協会に協力させることができる。

(立入検査等)

第三十一条の四 厚生労働大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、協会に対して、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは協会の事務所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 第十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による質問又は立入検査について準用する。この場合において、これらの規定中「前二項」とあるのは「前項」と、「第一項及び第二項」とあるのは「第一項」と読み替えるものとする。

第五章 雑則

(審判の請求)

第三十二条 市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

(町村の一部事務組合等)

第三十三条 町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

(大都市等の特例)

第三十四条 この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用があるものとする。

(緊急時における厚生労働大臣の事務執行)

第三十四条の二 第十八条第二項及び第十九条第一項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務(同項の規定による認可の取消しを除く。)又は第二十九条第六項及び第八項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホーム又は有料老人ホームの入居者の保護のため緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあつては、厚生労働大臣又は都道府県知事が行うものとする。

2 前項の場合において、この法律の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るもの(第十九条第二項を除く。)に限る。)は、厚生労働大臣に関する規定として厚生労働大臣に適用があるものとする。

3 第一項の場合において、厚生労働大臣又は都道府県知事が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。

(日本赤十字社)

第三十五条 日本赤十字社は、この法律の適用については、社会福祉法人とみなす。

(調査の嘱託及び報告の請求)

第三十六条 市町村は、福祉の措置に関し必要があると認めるときは、当該措置を受け、若しくは受けようとする老人又はその扶養義務者の資産又は収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、当該老人若しくはその扶養義務者、その雇主その他の関係人に報告を求めることができる。

(実施命令)

第三十七条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

   第六章 罰則

第三十八条 第二十条の七の二第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第三十九条 第十八条の二第一項又は第二十九条第八項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第四十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第二十八条の十二第一項若しくは第二十九条第六項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

二 第二十九条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

三 第三十一条第二項の規定に違反して、その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いたとき。

四 第三十一条の四第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

第四十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第四十二条 第三十条第二項の規定に違反して、同項の会員の名簿を公衆の縦覧に供しない者は、五十万円以下の過料に処する。

第四十三条 第三十一条第一項の規定に違反して、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いた者は、十万円以下の過料に処する。